『論衡』 ( No.31 ) |
- 日時: 2003/05/08 17:38
- 名前: ちんじゅう
- 明治書院
新釈漢文大系68『論衡 上』 新釈漢文大系69『論衡 中』 新釈漢文大系94『論衡 下』
中国・後漢時代の思想書。自然、人生、歴史、政治思想について、世間ではこう言ってるけど私はこう思うと、するどくツッコミを入れている。
中国の本なのでもとは漢文で書かれてます。日本語訳はいくつか出てますが、一部だけ抜き出して収録した抄訳版も多いです。明治書院の『新釈…』には『論衡』のすべてが収録されていますし、漢文、漢文の書き下し、口語訳が収録されていて、資料価値が高いです(お値段も高いですが)。
著者の王充は『山海経』をだいぶ読んだらしく、あちこちにそれらしい記述があります。でもそれは 別のスレッド で抜き書きしているので、ここではそれ以外の面白そうなことをメモしようと思います。
●呉人(書虚 第十六) 禹の時代、呉は裸体の国で、毛髪を断ち切り体に入れ墨をしていた。
●麒麟(異虚 第十八) 漢の武帝のころ、白い麒麟を捕まえたところ、一本角の先に肉をつけており、一足ごとに五つの蹄があった。謁者という役についている終軍という男に調べさせると「野獣でありながら一本角というのは天下がひとつになるということです」と読み解いた。 ※この話は『漢書』の終軍伝にある。
●倭人(異虚 第十八) 周の時代、倭人がやってきて暢草(鬱金草)を献上した。暢草は鬱金酒をかもし、よい匂いを遠くまでかおらせる。お祭りのときに注いで神おろしをするものだ。宮殿の庭に楮が生えたくらいで凶兆とするくせに、暢草はおめでたいものだというのはおかしい。どちらも自然に生えてくるもので同じじゃないか。
※暢草は、秬(クロキビ)とあわせて酒に香りをつける。李白の詩にも「蘭陵美酒鬱金香/玉碗盛來琥珀光」とある。鬱金といえばターメリックのことだが、倭人の貢ぎ物としてターメリックというのはあり得るのだろうか。
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