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脱出ゲームリリース履歴〜文章で説明する ActionScript 入門〜
 
◆はじめに◆





 わたしはプログラムだけは死んでも無理だと思っていました。

 過去にC言語というものにかじりつきましたが固くて歯が立たなかったので歯形をつけただけで捨てました。そんな抽象的なことを書くと本当はけっこうできたんでしょうと思われそうなので正直に書きますが、はっきりいって入門書の最初の10ページを読んだだけです。そのあとは理解できなかったので何もせずに放り出しました。

 もっと具体的に書くと、テキストファイルに行番号をつけて吐き出すだけのアリガチなフィルター(バグあり)を作ったところで先に進めなくなってやめたんです。マジ真剣本当です。今となってはprintf("Hello World")しか思い出せません。英語の勉強でいうと This is a pen レベルってことです。まだウィンドウズとかなかった時代でした。あ、いや、まちがい。西洋にはあったと思います。日本人はたぶん一部のとてつもなく高度な科学力を持った人しか使っていなかったと思います。ms-dos の ver.5 とか使ってると進んでるーと言われた時代です。誰も知りませんね。はいはい。

 それから数年後に、インターネットというものに足を踏み入れて、parl(つづりはこれであってる?)とかいう言語を覚えると掲示板とか作れるらしい、ということがわかり、これまた軽くかじってみましたが、固すぎて歯形もつかず、正面衝突して完全に負けました。入門書の最初の3ページくらいで投げたと思います。parlのことなんか何ひとつ思い出せません。もう絶対にプログラムなんか勉強しねーと思いました。

 さらに数年経過して、脱出ゲームというものが面白いことに気づいて、あまりにも面白いので自分で作ってみたいと思いました。そこで問題なのはプログラムを覚えられるのか、ということなんですが、どうも見た感じ、flash のオーサリングツール(データを作る道具)は、お絵かき用のツールに毛が生えたようなものっぽいんです。仮にプログラムを一個も覚えられなくても、開始したら最後まで再生されてしまうパラパラアニメならば絵を描くだけで作れると思ったので、とりあえずお試し版のソフトがついてる入門書を買ってみました。そんでもって作ったのが、「猿蟹アドベンチャー」「なぞなぞハウス」です。そうとうレベルが低いですが、これまでの挫折を思えば、かなりできてるほうだと思います。

 ここでは、そんなわたくしが思いつきで ActionScript の説明を書いてさしあげます。ActionScript というのは flash をゲームを作るために必要なプログラム言語の名前です。わかりにくいという苦情は受け付けません。無料で親切にしてあげられるほど心が広くないからです。ただのリリース履歴です。

◆脱出ゲーリリースの歴史1◆

猿蟹アドベンチャー 2005/10/26
 マジ真剣本当に on(release){}と、stop()gotoAndStop()のみ使用して書いてると……あ、変数に文字列を代入するのもできてるみたいですね。ほんとにそんだけです。

 flash は紙芝居みたいなもんです。絵をいっぱい描いて、次へ、次へってすすめると紙芝居になります。でも、紙に描いた絵と違って黙ってるといきなり次の絵に進んでしまいます。なので命令するまで止まっててくださいとお願いしなければいけません。それが stop()の呪文です。

 一度止めると、今度は動けって言わないと動きません。動かす方法はいろいろありますが、ゲームの場合「何枚目の絵に飛んで、しかもそこで止まってて」って頼むことが多いです。それが gotoAndStop()です。()の中にフレーム番号かフレームにつけた名前(フレームラベル)を書き込みます。

 stop()は、一番最初の紙に書いておけばいいのですが、gotoAndStop()はページをめくるボタンみたいなものに仕込んでおかなければなりません。となると、次に必要なのは「このボタンを押した時」というお願いです。それが、on(release){}です。on(release){}というのは、あるボタンをクリックして放した時に、{}の中に書いたことを実行してください、というお願いです。

 たとえばon(relese){ gotoAndStop(2); }とか書くと、このボタンを押したら2ページ目に飛んでください、という意味になるわけです。「;」は文章の終わりにつけるものです。「。」と同じだと思ってください。

 変数に文字列を代入するというのは……それは次で説明します。
 

オープンソースその1
初心にかえって
ダウンロード可能な
サンプルを作ってみたよ。
なぞなぞハウス 2005/11/01
 on(release){}stop()gotoAndStop()に加え、 if〜eles(いわゆるif文)が使えるようになりました。あと、変数に数字とか文字列を代入したり比較演算子でふたつのものを比べたりもできるようになりました。

 if文というのは、「もし、ナントカだったら、こうしてください、それ以外だったら、ああしちゃってください」、と条件付きでお願いする呪文です。条件は○○と××が同じだったら、とか△△より□□が大きかったら、とかなんとか指定します。その際に使うのが変数への文字や数字の代入や、比較演算子によるくらべっこです。一見むずかしそうに聞こえますが、やってることは小学生レベルです。

 たとえば kotae っていう名前の変数があるとします。変数というのはカラッポの箱みたいなもんです。 kotae箱には何をいれてもいい状態です。ここではクイズの答えを入れます。入力欄を作って(これは簡単に作れます)、プレイヤーに何か書き込んでOKボタン(ボタンも簡単に作れます)を押してもらいます。ボタンが押されたら 入力欄に書いたことが、kotae箱に入る仕組みを作ります。そして、kotae箱に入っているものと、クイズの正解が同じか違うかを判断します。同じだったらgotoAndStop("atari")、違ってたらgotoAndStop("hazure")って感じに命令します。

on(releasw){
    if(kotae=="ブランコ"){
        gotoAndStop("atari");
    } else {
        gotoAndStop("hazure");
    }
}

 これを日本語で説明すると「このボタンを押して放した時、もしkotaeがブランコだったら、"atari"という名前のついたフレーム(ページ)に飛ぶ、もし違ってたら"hazure"というフレームに飛ぶ」です。「==」は、同じという意味です。違う場合は 「!=」って書きます。こういうのを比較演算子といいます。大なり、小なり、以上、以下などをあらわす比較演算子もありますが、そういうのは入門書買って覚えてください。googleさんに聞いてもおっけーです。>おすすめ検索ワード「ActionScript 比較演算子」

 簡単ですが、これが理解できるといきなりいろんなことができるようになります。
 

オープンソースその2
if文を使ったサンプル
◆脱出ゲーリリースの歴史2◆

通せんぼ12006/02/17
 「猿蟹」と「なぞなぞ」は、無理矢理どこからか脱出するストーリーをつけてありますが、これらを脱出ゲーと呼ぶのはずるいと思う人が多いことでしょう。そこでちゃんと脱出ゲーにしてみたのがコレなんですが、プログラム的には上で説明した知識に加え、_visible getURL() しか使ってないような気がします。

 getURL() というのは、ブラウザで指定した URLを表示するだけの命令ですから、リンクタグとほとんど変わりません。()の中にURLを書くだけです。

 _visible は、指定した画像を消したり出したりする呪文です。部屋にアイテムを置いて、置いたアイテムをクリックしたら取れるようにしたい場合に、まずアイテムの絵に名前をつけます。このゲームの唯一のアイテムはアルミホイルなので、arumi とかにしておきます。arumi を消したい時は、arumi._visible=false; と書きます。false というのは直訳すると「不正な」とかいう意味ですが、visible は「目に見える」という意味ですから「目に見えることが不正→見えない」って感じで目の前から消えるわけですね。バンザーイ。

on(release){
    arumi._visible=false;
}

 arumiという名前の画像に、上のような呪文を仕込んでおくと、arumiをクリックして放した時にarumiが画面から消えたように見えます(目に見えないだけで存在はしてるんですけどね)。逆に、消したものを出したい時は、arumi._visible=true; って書きます。

 これで消えたり消したりはできますが、それだけでは手に入れたものを使えないので、変数とif文を使います。

on(release){
    arumi._visible=false;
    item01=1;
}

 arumi に仕込んだ呪文に、太字で書いた部分を付け足します。 item01 という変数に 1 という数字を代入するという意味です。変数はカラッポの箱だと説明しましたが、別の言い方をすると思い出をしまっておく場所なんです。クリックして arumi を消す(ゲットする)と同時に、消した(ゲットした)という記憶を 1 という形にして item01箱にしまっておくのです。これで、arumi(アルミホイル)というアイテムを持ってることになります。

 次に使う方法ですが、このゲームではがぼ様(猫)に使うので、がぼ様の絵(gaboという名前をつけておきます)に次のような呪文を仕込みます。

on(release){   //この画像をクリックして放した時

    if(item01==1){   //item01箱の中に 1 が入っているならば

        gabo._visible=false; //がぼ様が消える

    } else {  //それ以外ならば

        //何もしない

    }

}

 実際には、アルミホイルの箱→切ったホイル紙→ホイル紙を丸めた玉というぐあいにアイテムが変化してからがぼ様に使っていますが、やってることは同じです。アイテムの数だけ変数を用意するだけです。変数は、思い出をしまう空箱だと説明しましたが、ひとつの箱にひとつの思い出しかしまえないのが特徴です。

# そーいえば、else 以下に何も書かない if文を作ったらお行儀が悪いのかどうかなんてことも悩んだね、この頃は。
 

通せんぼ2 2006/04/18
 これは、見た目だいぶ普通の脱出ゲー的ですが、やってることはこれまでに説明したことがほとんどです。ただ、ここまで来るのにいくらかハードルがあったような気がします。前作と違って二画面になっているのですが、_visibl=false; で消したものが、隣の画面へ行って戻ってくるとまた出てきてしまうのです。

 なんせ C言語に歯形をつけただけで放り投げ、Parl に至っては完敗したわたくしなので、そうとう悩みましたけれど、冷静に考えたらこれもif文でどうにかなっちゃうのですね。

 上で、ある画像をクリックしたら○○する、という命令を説明しましたが、もっと前に一番最初のページにstop()って書いたら止まるって話もしました。それと同じで、そのページ(正しくはフレームというんですが)自体に、if文を仕込んで、こういう条件の時にはこの画像を出す、とか書けばよかったわけです。

 まず、ある画像に名前をつけます。ここでは kagi にします。kagi という画像の中に、

on(release){
   kagi._visibke=false;
   item01=1;
}

って書きます。これで、その画像をクリックして放すと画像が消え、しかも消したことを思い出の箱 item01 にしまいました。

 となりのページへ行き(これはgotoAndStop()で別のフレームに移動してるだけです)、同じフレームに戻ってきました。このままだと、さっき消した kagi がまた表示されてしまうので、そのフレーム自体に

if(item01==1){
    kagi._visibke=false;
} else {
    kagi._visibke=true;
}

って書いておきます。これで、一度消した(つまり、持っている)アイテムは、画面に表示されなくなります。画像は書いたら消す命令をするまで表示されているのが基本なので、else 以下は省略しても大丈夫です。

 

オープンソースその3
_visibleを使ったサンプル

まちがいさがし 2006/5/11
 これは脱出ゲームではありません。突然作りたくなって作った間違い探しです。上で説明したこと以外に、時間制限を付ける仕組みや、ランダムを作り出す仕組みなんかを使っていますが、ハッキリ言ってこんなん覚えなくても脱出ゲーは作れます(知っていたほうができることの範囲が広がるという程度)。
 

聖夜の脱出 2006/12/22
 ええと、これは本当に上で説明した知識のみで作ってあります。軽くネタバレですが、引き出しをあける順番がゲームの胆(きも)になっていて、最初はなんか小難しいことをしなきゃいけないんじゃないかと思ったのですがそうでもなかったです。たとえば、A、B、C、Dというボタンがあって、A→B→Cの順にクリックしたら正解、という場合、

・Aを開けたら変数Aに 1 を代入
・Bを開けたときに、変数Aに 1 が入ってるかどうかをチェックする
  入っていたら変数Bに 1 を代入
  入ってなかったら変数Aに 0 を代入→注釈1
・Cを開けた時、変数Bに 1 が入っているかどうかをチェックする
  入っていたら変数Cに 1 を代入
  入っていなかったら変数Bに 0 を代入
・Dをクリックしたら変数A、変数B、変数C、のすべてに 0 を代入

……という具合に、次々とif文を書いてあるだけです。ボタンが増えてくると条件の付け方が複雑になり、矛盾が出やすくなりますが、それは文章で説明したときも同じです。矛盾が出ないように頭をはたらかせてください。たまに、ゲーム作りには数学の知識がいるんじゃないかと言う人がいますが、脱出ゲーに関して言うと、必要とされているのは国語力です。→注釈2

注釈1)
 つまりAを開けたという甘い思ひ出を 0 という悔しい思ひ出で消してしまうのです。
注釈2)
 アクションゲームやシューティングゲームだと話は別かもしれないけど、作ったことないのでわからんです。
 

あけおめ A-KE-O-ME 2007/01/06
 これは、アイテムのドラッグ&ドロップ(つかんで放す)という仕組みを作ってみたくてやったんですが、こんなことできなくても問題ないという結論に達しました。めんどくさいので覚えたい人は入門書かgoogleさんに聞いてください。

◆脱出ゲーリリースの歴史3◆

へやからでたい 2007/01/28★これは合作
 これは合作です。わたしがプログラムを書きましたがアイディアは大勢で作りました。基本は上で説明した知識でできあがっているのですが、アイテム欄のアイテムをクリックしたら枠がついて、枠がついてる間だけそのアイテムを使えるとか、そういう仕組みを作るのにいくらか工夫しました。

 具体的に言うと、onEnterFrame=function(){} という呪文で変数を常にチェックして、複雑な処理を簡単にしようという腹なんですけれど、言葉で説明するとめんどくさいのでパス。この頃はまだ迷いがあって使いこなせてなかったりもしますし。

 ところで、わたしのゲームは自前サーバに置いて広告貼ったりしていくらかお小遣いをいただいてますが、みんなで作ったものにそれやっちゃうと外道なので、「へやからでたい」はジオシティーズという無料サーバを借りました。表示されてる広告バナーはジオシティーズのやつで、わたしには一銭も入りません。あ、いや、重要なのはそっちじゃなくて、ジオシティーズはアクセスが集中したくらいで出てけとか言わない良いレンタルサーバです。cgiは使えませんが、普通にフラッシュデータを置くだけならなんの問題もありません。

 ほんとはもっと、左手で書いたみたいな絵でチープなクリックゲーを作りたかったんですけど、集まってきた人たちがけっこー高度で、絵が上手かったり、アイディアを出すのが上手だったりしたもので、予想に反してちゃんとしたものができちゃったのには面食らったというかなんというか、こんなまともなもんタダで作れるかアホ的な……あ、いや、とっても楽しかったです。またやりたいんですが、わたくしけっこうヘボいプログラマーなので、次もってなるともっと高度なことを要求されそうで恐いです。

 プログラムは得意なんだけど絵が描けませんとか、アイディア出すのがめんどくさいんですって人は gotmailSNS の らら(珍獣)までご連絡ください。注文の多い仲間達がよだれ垂らして喜びます。
 

おりがみ O-RI-GA-MI 2007/03/23
 世の中のゲームがネタ切れになりつつあること、ネタ切れをごまかすために小難しい暗号でごまかすという邪悪な方向へ突き進んでいることに嫌気がさし、簡単でいいから変わったものを作りたいと思って作ったゲームです。絵を描くかわりにおりがみを写真にとって作りました。プログラム的にはこれまでに説明したことをしてるだけです。
 

ばななのかわ2007/09/01
 これもやってることはこれまで通りです。「へやからでたい」や「おりがみ」あたりで、やることは常に同じだし、これ以上高度なことをしなくていいんじゃないかということに気づき、テンプレートを作り始めました。
 

通せんぼ3 2007/10/12
 これは簡単でいいからなるべくしょっちゅう作ろうと思い立って、本当に簡単にするつもりで作り始めたんですが、ささいなバグが多発して、そのたびにサボテンの数を増やしたりしたもんだから、なんとなく大作っぽくなってしまった作品です。

 これまでに説明したことの他に、変数をローカルに保存する仕組みを使っています。つまりブラウザのクッキーみたいなものなんですが、クッキーの仕組み自体が一般の人にはわかりにくいのでむにゃむにゃ。これができるようになると、途中でセーブしたりできるんですが、興味のある人は SharedObject.getLocal(); とかで検索してみてください。

 え、こんな呪文どこで使ってるかって? サボテンを○個あつめてブラウザのリロードボタンgyふじこlp;@:「」
 

あけおめ A-KE-O-ME 2008 2008/01/01
 これはすごいんです。アイテムにアイテムを使うことができるようになったんです(これまではできるようなふりをしてできてませんでした)。でもプログラム的には今までに説明した知識のみで特別なことはしてません。書く場所をちょっと変えただけ。ちょっとの違いでイベントの幅が広がります。そういう工夫が重要なのです。

 ここまで作って思ったことは、ゲーム作りは技術ではなくセンスだということ。なんでもできるにこしたことはないのですが、万能じゃなきゃ何もできないというわけではありません。むしろ限られた技術でどう面白くするか工夫することが大事なのであって、すごいことをするのは二の次です。

 あと、プログラマーに要求されてるのは数学力より国語力です。ここも重要ね。メモしといて。


 というわけで、みなさん flash を購入してゲーム作っちゃってください。値段は wii とだいたい同じくらいです。

[WIN/MAC両用]Adobe/Macromedia Flash Basic 8 日本語版
 リンク先は楽天市場です。大丈夫大丈夫、わたしが使えてるんだから誰にでも使えます。思い切って買っちゃってください。これを買うと flash でゲームを作れるようになります。

 basic の製造販売をメーカーがやめてしまったので買えなくなってしまいました(涙) Flash CS4 Professional というのが最新版のようですが、こちらは高価で、プログラムの初心者に安易におすすめできないような感じです。うえーん。

おしえて!!FLASH8 ACTIONSCRIPT
# Flash Basic 8 が販売終了になり、この本も買えない状態です。

 ActionScript というのは flash データを作るために必要なプログラム言語の名前です。わたしはこの本の旧バージョンを一冊読んだだけで、他に必要なことはネット検索でだいたい用が足りてます。

 CD-ROMがついていて、プログラムのサンプルと、30日くらいタダで使える flash のお試し版がついてます。上に紹介した製品版を買う前に、これであそんでみるってのも手だと思います。飲み込みの早い人ならば、お試し期間中にゲームのひとつやふたつ作れるかもしれません。

 ただ、この本は決して脱出ゲームを作るための本ではありませんから、目標が脱出ゲームのみって人は、ハードルの乗り越え方をこの本ではつかみにくいかもしれません。その時は今見てるこのページを最初から読み直すと、ひょっとすると良いことがあるかもしれないし、ないかもしれないです。

 この本に書いてあるのはプログラムの説明なので、flashで高度な絵を描いて動かしたいって人は、別な本を買ったほうがいいです。

◆脱出ゲーリリースの歴史・つづき◆

通せんぼ4 2008/02/04
 これは今までの集大成とも言える作品で、これまでわりと軽めのものばかり作っていたので、しっかり悩まないと解ける、でも悩めば解けるものを、と思い、時間をかけて作りました。ところが、完成間近でデータが壊れてしまい、修復してみたらあちこちに不具合が多発して手間取りました。プレイに支障のないレベルにまでは修復できていると思いますが、不満も多々あります。大きな修正を加えると壊れるので直せませんでした。

 それはともかく、わたしは、難しいゲームが好きですが、解けないゲームは嫌いです。

 ゲームに詰まった時、少し考えて自力で「あ、そうか!」と思いついて解けた時、嬉しいですよね。仮に攻略サイトに頼ったとしても、答えを読んでそうだったのかと納得できればそれなりに面白いし、これが自力で解けなかったのは悔しいな、と思うでしょう。こういうのは、難しいけど解けるゲームです。

 ところが、攻略を読んでも「なんだ、これならわからなくて当然。ぜんぜん悔しくない」と思うゲームも多々あります。こういうのは解けないゲームです。

 どこからを「解けないゲーム」とするかは人に寄りけりなんですが、可能な限り前者の「難しいけど悩めば解けるゲーム」を目指したいと思い、そのように作りました。これに関しては、いずれ自分で「手順を書くのではなく、ヒントを与える攻略」を書こうと思っていましたが、ほったらかしのまま一年たってしまいました。

くつした 2009/01/24
 前作から一年もたってしまいました。久しぶりなのでプログラムの書き方を思い出すために軽いものを作ろうとした結果、本当に軽くなった作品です。小ぎれいなだけで特徴のないものよりも、無骨でも特徴があったほうがいいというのもポリシーなので、軽いものを作る時は絵に変化を付けることにしています。今回のは全部手書きで、紙に書いたのをスキャニングして使いました。

 手慣らしで作ったので本当に捻りがありません。キャットフードの場所さえわかれば絶対に悩まないと思いますし、その場所は最初からクリックポイントが見えています。アイテムは少なく、使える場所も限られています。詰まったらはしから試していけばどれかが当たるでしょう。

ひなまつりゲーム(パズル) 2009/02/25
 ひな人形を正しい場所に設置するだけのゲームです。ゲーム自体は単純すぎて面白みはないかもしれません。今回のテーマは for文と仲良しになることです。

 for 文というのは「同じ作業を( )内に書いた条件だけくりかえしなさい」という呪文です。そういう風に言うと簡単そうですが、わたしは for 文が嫌いなんです。だって、いきなり算数っぽくなるんだもん!!

 for(初期化式 ; 継続条件 ; 増分処理) { 繰り返す内容 } が、for文の構造です。実際にはこんな風に書きます。

      kotae=0;
      for( i=0; i>10; i++){
            kotae ++ ;
      }

 この for 文は、{ }内に書いたことを10回くりかえしなさい、という意味です。なぜこれで10回になるかを説明します。

 繰り返しの条件は( )の中に書かれています。この場合なら、「i=0;i>10;i++」が条件です。iは変数です。for 文の条件には、なぜか iという変数名が使われる決まりがあります。ナントカいう別のプログラム言語の仕様と関係しているらしいんですが、ここではあまり深く考える必要はないと思います。

 変数というのは、カラッポの箱だと説明しました。 i =0は、 i という空箱に0を入れてやる、という意味です。空箱なら最初から0だと思ってしまいがちですが、実は違うんです。空箱はなんでも入れることができますが、それ自体は何者でもない、ただの空箱なんです。数字でもなければ文字でもありません。この意味は、最後にもう一度説明します。

  i > 10 は、 i は 10 未満である、という意味です。以下ではなく、未満ですから10を含みません。 次に、 i ++ は、 i に 1 を足しなさい、という意味です。算数の本では見ない式ですが、意味は小学校の算数レベルですよね。

 ところで、0 に 1 を足したらいくつになりますか? 0+1=1 ですよね。では、文字だか数字だか、0なのか100なのか、まったくわからないものに 1 を足したらいくつになるでしょうか。その答えは「わからない」が正解です。

 最初に、変数はそれ自体は何者でもない空の箱だと書きました。何者でもないものに、1を加算しても、答えが出ないのです。だから、最初に 0 を代入して、 i という空箱に 1 を加えて答えが出るようにしてやるのです。0 に 1 を足したら、1 ですね。

 ここまでわかったら、あらためて最初の for 文を見直しましょう。for( i = 0 ; i > 10 ; i++) は、i の初期値が 0 で、 i が10未満の最大の整数になるまで、1ずつ加算しなさい、という意味です。0 から 9 までなので、10回です(9回じゃないことに注意しましょう)。

      kotae=0;
      for( i=0; i>10; i++){
            kotae ++ ;
      }

 さて、このfor文の kotae はいくつになるでしょうか。++ は 1 加算する、という意味でしたね。最初の行で kotae に 0 を代入してあるので、 1 足せば 1 です。for 文の条件にしたがって 10 回繰り返すんだから、kotae は 10 になります。バンザーイ。

 これだけでもややこしいんですが、問題は for 文をどう使うと便利かってことなんです。使い道をぱっと思いつかないから、わたしは for 文が苦手なのです。今回、どこに for 文を使ったかというと、

hairetu = [0,0,0,0,0,0,0,0,0,0];

 こういう配列(変数の箪笥みたいなもんです)があったとして、「配列の何番目かわからないけれど、どこかに 1 が代入されていたらこうしなさい、でも全部 0 だったら何もしてはいけません」というふうに書く場合、for 文嫌いのわたしは、これまで 10 回 if 文を書いていたのですが、それではバグが出た時に見る場所が増えるので時間がかかって大変です。

      if(hairetu[0]==1){
            //ここにやらせたい事を書く
      }
      if(hairetu[1]==1){
            //ここにやらせたい事を書く
      }
      if(hairetu[2]==1){
            //ここにやらせたい事を書く
      }
      ……と、hairetu[9] までif文を書く

 これをfor文で書き直すと、

      for( i=0; i>10; i++){
            if(hairetu[i]==1){
                  //ここにやらせたい事を書く
            } 
      }

 おおっ、これがスマートなコーディングというものか!! 少し頭がよくなった気がします。これからは for 文と仲良くやっていこうと思いました。しっかし、ここまでややこしくなると誰も読まないよなー(笑)

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