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レタス(タマヂシャ)
 
レタス(タマヂシャ)
レタスの切り口
 現在日本でレタスと言えばこれ。切り口(右上の写真)を見ればわかるとおり葉が丸まって玉になるので和名はタマヂシャ。この種のレタスは西洋からきたもので、日本に昔からあったのはステムレタスの仲間だという。
 
 
サラダ菜(タマヂシャ)
 
サラダ菜
サラダ菜
 サラダ菜もレタスの一種。葉がゆるく玉になるので玉ヂシャの仲間ってことになっている。葉は柔らかく、豚肉のそぼろなどを包んで食べると美味しい。

 サラダ菜に限ったことではないが、レタスの切り口からは白い液がにじむ。これがミルクに似ているのでラテン語では乳の草という。切り口は時間がたつと茶色くなってしまう。

サラダ菜の切り口 レタスの切り口(時間がたつと…)

 
山くらげ(ステムレタス) [関連記事] [関連記事]
 
 「山くらげ」とはいうものの、海にいるクラゲではなく、ステムレタス(チシャトウ)の茎を乾燥させたもの。切り干し大根に似た香りがする。

 珍獣様の家のそばにあるスーパーでは、なぜか常に手にはいる。密かに人気商品なのかもしれない。

山くらげ
山くらげ
パッケージより
「カリカリとした歯ごたえが新鮮でおいしい。四季の野菜や、油揚げ等と一緒に、煮物や炒めものとして美味しくいただけます」

 1袋(100g)で、348円だった。

 山くらげの原材料であるステムレタス Stem Lettuce はアジアで昔から食べられていた品種だという。西洋から玉になるレタスが入ってくる前から日本でも栽培していたそうだ。この種のレタスは葉も食べられるが主に茎のほうを食べる。下の図のように、下のほうから葉をかき取って育てると、茎が伸びて背の高いレタスになるらしい。育て方によっては 1m にもなるというからビックリする。
ステムレタスの成長(想像図)
ステムレタスの成長
この画像は想像で書いたものですが
実際に育ててみたら、わりと想像どおりでしたよ

 山くらげのパッケージには「原材料:貢菜(中国野菜)」とあり、「古くは、宮廷、皇帝に献上された、高貴な味わいをもつ……」と解説が添えられていた。貢ぎ物にする野菜なので貢菜というわけだ。萵苣筍、萵笋と呼ばれることもある。萵も苣も中国語でチシャ(レタス)のことで、筍と笋はタケノコのこと。タケノコみたいに生えるレタスという意味である。

水でもどす  乾物なので、水で1時間くらいもどす。お湯なら30分くらいでいいみたい。ゆでる必要はなくて、もどしたら水洗いして、そのまま食べられる。
 最初はやっぱり単純な料理で味をみなければと思いサラダにしてみた。もどしたやまくらげを適当な長さに切り、豆板醤とマヨネーズをまぜたもので和えただけ。
 甘みがあって、ほのかに苦みがある。かむとシャキシャキ、ポリポリ実によい歯ごたえ。レタスっぽい味はほとんどしない。

 もちろん加熱してもよく、炒めるとシナチクのような食感になり、また別の味わいを楽しめる。

豆板醤マヨネーズ和え
ステムレタス育ててます
ステムレタス栽培日記

 ケルンという品種のステムレタスを育ててみた(栽培ちゅの様子は上のリンクから見てほしい)。実際に育ててみると、下の写真のように茎がまっすぐに伸びてレタスには見えない。これは 1m 近くあるのを写真にとりやすいように三つに切ったもの。

ステムレタス(生)

  乾物のヤマクラゲにするならば、葉をとって皮をむき、茎を縦に細長く切って干せばいいのだが、写真のものは発育が悪い上に育ちすぎて、芯に空洞が出来ていて、皮をむいたら食べられる部分など残らなかった。花が見たくて収穫せずに置いたのが敗因だ。食用にするならもっと若いうちに収穫したほうが良さそうである。まだ何本か残っているので、太めのやつを選んで皮をむいてみようと思うが、状況はあまり変わらないだろう。

 ただ捨てるのももったいないので茎を生でかじってみた。根元近くには強い苦みがあるものの本によれば葉にも苦みがあると書かれているが、この品種では葉の苦みはそれほど強くない。

 根元の近くは固くてダメだったが、穂先はまだスジっぽくなっていなかったので、刻んで炒め物にして食べた。しかし、これといって面白いこともなかった。やはり旬をのがしたのは痛かった。 

 
ロメインレタス
 

 ギリシアのコス島原産なのでコスレタスともいう。日本でよく見るタイプのレタスは玉になるものが多いが、ロメインレタスは完全な玉にはならず、葉が立っているので和名ではタチヂシャ(立苣)という。

 古代エジプトではこの種のレタスを栽培していたという(参考>八坂書房『ファラオの秘薬』)。

 
 レタスにはラクッコリコピンという催眠作用のある物質が含まれており、古代エジプトではこれをほれ薬として使っていた。太陽の王子ホルスとその叔父で破壊の神セトで、レタスは印象的な役割を演じている(参考>珍獣様の博物誌「レタスと男のつとめについて」)。
  
 
珍獣様が食したレタスその2