魚の腹から金が出た話
 
 
 沖縄の昔話。
 ある人が選ばれて唐の国へ勉強に行きました。
 とても頭のよい人だったので、唐の国の王様はご褒美に黄金のかたまりをくれました
 やっと沖縄にかえる日がきて船にのりましたが、高価な黄金をもっていたら、強盗におそわれて殺されてしまうかもしれないと思うと、心配でたまりません。恐いおもいをするくらいなら、盗まれるまえに海にすててしまおうと、船の上から金のかたまりを投げすててしまいました。
 損はしてしまったけれど、おかげでぶじに沖縄にかえることができたのだから、お祝いをしようと思いました。そこで、大きな魚を買ってきてさばいてみると、海ですてた金のかたまりが、魚の腹から出てくるではありませんか。
 お祝いに集まってきた人たちは「身についた徳というのは、すててもすてきれないものだ」と、口々に褒めそやしたということです。
 
 
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