[参考]
サルを表す漢字(その2)

 
読者のKATOさんよりのお手紙
こんにちは!
「山海経動物記」をとても面白く読ませてもらっています。
量が多いのでぜんぶは見ていませんが、イッキに読むと楽しみが
なくなってしまうので、少しずつ大事に読もうと思います。

それで、サルの漢字について、説明がありましたが、
ホームページに載っていた以外にも、サルという字があります。
猴(コウ)も、サル(マカク系)をあらわしますよね。
私、京劇が好きなのですが、演目に「西路上美猴王」というものがあります。
「美猴王」というのは孫悟空ですね(「西遊記」にも出てきますしね)

けっこう有名な字なので(パソコンでも出てくるし)、
「そんなの知ってるよー」って言われそうですが、
とりあえずホームページの情報量の多さと、内容の面白さに
感動してメールしてしまいました。

それでは、突然のメール、失礼しました。


 
 KATOさん、お手紙ありがとうございます。前のページでは、『山海経』に出てくる漢字だけを取り上げたので、たしかに猴は入っていません。サルを意味する漢字は他にも沢山ありますので。参考までに並べてみましょう。
音読み : コウ
訓読み : さる・おおざる・ましら
 『山海経』ではサルを意味する文字として、 という漢字が一番多く使われているが、ふつう中国語で無条件にサルという場合はこの字を使うことが多いようだ。台湾にあるサル専門の動物園も漢字で書くと 猴園 である。強いて使い分けるとしたらテナガザルをあらわす猿に対して、猴は主にニホンザルやアカゲザルのようなタイプのサルのことを言うらしい。
 日本語でもわりと使われる漢字で、JIS文字にも入っているほどだが、なぜか『山海経』ではみかけない。
 
関連熟語
えん こう
サルのこと    えん こう
サルのこと   
 
音読み : ソン 
訓読み :

 これまた不特定なサルのこと。
 『西遊記』に出てくるサルの名前 孫 悟空は、字面だけ見ていると人間並みの立派な名前に見えるのですが、もしやこの字から来てるのでは? つまり、おサルの悟空というような意味。 
 
 
関連熟語
こう そん 
サルのこと

音読み : ミ ビ
訓読み : さる おおざる

 やはり不特定なサルのこと。
 
関連熟語
び えん 
サル(おそらくはテナガザル)のこと
び こう 
サルのこと

音読み : コ
訓読み :

 やはり不特定なサルの意味。
 
関連熟語
こ そん
サルのこと

音読み : ザン
訓読み :

 日本語では単独で使われることはほとんどないらしく、漢和辞典に出ていない。
 
関連熟語
ざん こ
ある種のサルを意味しているらしいのだが何ザルなのかはよくわからない。

音読み : カク
訓読み : おおざる

 みんな同じ意味で、同じ発音の文字である。「大きなサル、親ザル、母ザル」などという意味らしい。また、「手で何かを打つ」動作も表している。
 実はけものへんの文字だけは『山海経』に一度出てくるのだが、サルではなく、人の手を持ったシカの名前に使われている。
 
関連熟語
かく こう 
サルのこと   
かくちょう 
猛々しい鳥。タカ・ワシ・ハヤブサなど、足でえものをとらえる猛禽類のこと。

音読み : ユウ ユ
訓読み : 

 オナガザルの一種。また、色の黒いサルのこと。

音読み : カ
訓読み : 

 オナガザルの一種。

音読み : ドウ ジュウ
訓読み : 

 テナガザルの一種。
 
関連熟語
えん じゅう 
テナガザルのこと   

音読み : ショ ソ
訓読み : ねらう

 テナガザルの一種。また、わるがしこい様のこと。
 日本語では、あまりサルと関連した熟語はなく、狙撃(ねらい打ち)、狙害(人をねらって傷つけること)などと使う。
 
関連熟語
そ こう 
 サルのこと
えん そ 
テナガザルのこと

音読み : ヒ
訓読み : 

 年老いたサルのこと。また、性欲の盛んな人のこと(狒狒爺)。
 
関連熟語
ひ ひ 
 オナガザル科のヒヒの仲間。マントヒヒなど。

音読み : ボウ モ
訓読み : 
音読み : ケイ
訓読み : 

 どちらも単独ではあまり使われない漢字のようだ。
 
関連熟語
ぼう けい 
 南米産のサルで、クモザルのこと。


 
 なお、上記のような漢字は「……の仲間」といった大ざっぱな意味を表しています。「ハヌマーンラングール」「ニホンザル」「チベットモンキー」など、種名を特定した呼び方をする場合については、現代中国語動物名リストをどうぞ。

 

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