現代中国語動物名リスト<鹿>
(超漢字用&T表記版)


 シカ科とマメジカ科の生き物。

参考サイト
 http://www.rany100.gov.cn/nongyefalu/gjzrzy15.htm
 http://www.coa.gov.tw/external/preserve/preserve/species/rares/arti.htm
 http://www.hellopet.com.cn/gongmu/guanzhushengming/guanzhushengming006.htm
 http://www.mbtech.com/book/b008.html


旧世界のシカ

 不思議なことに、シカの仲間はアフリカ大陸にはほとんどいないらしいです(北アフリカのごく一部にアカシカが棲んでるらしいですが)。

マメジカ科

中名 &T21ED39;鹿
和名 マレーマメジカ

ジャワマメジカ
學名 Tragulus javanicus
英名
Lesser Malay Mouse Deer

 &T21ED39;はハツカネズミのこと。英語でも Mouse Deer (ネズミジカ)と言うみたいですが、シカとは思えないほどちみっちゃい生き物。シカ科じゃなく、マメジカ科に分類されてます。
 珍獣がみつけたサイトでは、 &T21ED39;鹿にマレーマメジカの学名をあててたけど、この中名だったらインドマメジカやミズマメジカにも通用するかもしれません。


シカ科

キバノロ亜科

中名 河&T21EC5D;

&T21CB3A;
和名 キバノロ

ガショウ(牙&T21CB3A;の音読み?)
學名 Hydropotes inermis
英名
Chinese Water Deer

 Hydropotes は水を飲むものという意味。揚子江などの河のそばに棲んでるから?
 鹿なのに角はなくて、上顎の犬歯が長く伸びるのでキバノロ。ノロっていう鹿もいるけど、見た目はかなり違うし別の生き物です。

  &T21CB3A;という中国名は、ノロ(ノロジカ)のことでもあります。&T21EC5D;はホエジカやキョンのこと。


ホエジカ亜科

中名 山羌

&T21EC5D;



羌仔
和名 キョン(タイワンキョン)

ヨツメジカ
學名 Muntiacus reevesi micrurus
英名
Reeves's (or Chinese) Muntjac

 日本の八丈島にもいるキョン。上にあげた学名は台湾もしくは中国固有亜種のものかもしれません。
 キョンという和名の由来はよくわからないけど、犬に似た声で鳴く鹿なので、キャンキャンという音をあらわしてるのかも。ヨツメジカというのは、目の下に分泌液を出す腺があって、目が四つあるように見えるから。
 学名のMuntiacusはマレー語でキョンやホエジカをさす単語が語源だそうです。



中名 &T21348D;&T21EC5D;

蓬頭&T21EC5D;

毛額黄&T21EC5D;

&T21349F;&T214280;&T21EC5D;(紅頭&T21EC5D;)
和名 マエガミホエジカ
學名 Muntiacus crinifrons
英名
Hairy-fronted Muntjac

Black Muntjac

 蓬頭&T21EC5D;は、ぼさぼさ頭のホエジカ、毛額黄&T21EC5D;は、額に毛のある黄色いホエジカ、という意味。&T21348D;&T21EC5D;という名前と矛盾してる気がするんだけど、なんでだろう。とにかく、前髪がチャームポイントのホエジカらしいんです。


シカ亜科

中名 大衛神父鹿

麋鹿
和名 シフゾウ
學名 Elaphurus davidianus
英名
Pere David's Deer

Ciervo Del Padre David(スペイン語)

Cerf du p&T21295E;re David(フランス語?)

 和名のシフゾウは、四不像と書いて、四つの生き物の特徴を備えてるのに、そのどれとも違うという意味。中国で「蹄似牛非牛 頭似馬非馬 角似鹿非鹿 身似驢非驢」と言われたことから。

 日本ではいまだに四不像という呼び名が正式和名になってるのですが、中国では西洋式に大衛神父鹿(ダヴィッド神父鹿)と呼ばれてるようです。宣教師のダヴィッドは、布教に来るという名目でアジアにやってきて、実はその土地の動物をたくさん記録してたらしいです。学名も「ダヴィッド(がみつけた)鹿みたいな(生き物)」という意味だそうです。

 シフゾウは、神父がみつけたときにはもう野生のものが絶滅していて、宮廷の庭でひっそり飼われていたものだけだったとか。ヨーロッパで繁殖させて、今では世界各地の動物園で見られます。日本では東京の多摩動物公園にいるのが有名ですが、今は別の動物園にもいるみたいですよ。

 ちなみに、現在の中国で「四不像」というとキリン科のオカピのことを指すらしいんです。たしかにオカピも「頭はキリン、体はロバ、足はシマウマ、蹄は牛に似ていて、全体としてはどれとも似てない」動物だけど……そんなあんまりだー。



中名 梅花鹿
和名 ハナジカ(カロク)
學名 Cervus nippon taiouanus
英名
Formosan Sika Deer

 ニホンジカの台湾固有亜種。ニホンジカは冬になると白い斑点が消えるけど、ハナジカは年中無休で白い点々がある。それが梅の花に見立てて梅花鹿。和名の由来も同じ。カロクは花鹿を音読みしただけ。
 学名の Cervus nippon は、読んでそのまま、日本のシカという意味だと思うのですが、この仲間は英名もごらんのとおり Sika Deer 、つまりシカという名のシカ(笑)



中名 白唇鹿
和名 クチジロジカ
學名 Cervus albirostris
英名
Thorold's Deer

White-lipped Deer

 体は灰色がかった茶色で、口のまわりと顎が白いので白唇鹿。和名の由来も同じ。學名のalbirostris も口先が白い、という意味。



中名 沼鹿
和名 インドヌマシカ

バラシンガ
學名 Cervus duvaucelii
英名
Swamp Deer

Barasingha

Duvaucel Deer

 名前は沼鹿なのに沼地にはいないらしい。なんでそう呼ばれるようになったのかは不明。




中名 暹&T213A8E;沼鹿(暹邏沼鹿)

坡鹿
和名 ターミンジカ

エルドジカ
學名 Cervus eldi
英名
Eld's deer

 暹&T213A8E;(暹邏)=シャム(タイ王国)



中名 紅鹿
和名 アカシカ
學名 Cervus elaphus
英名
Red Deer

 イギリス、ヨーロッパ、アジアなどに棲息。棲んでいる地域によって別の亜種名で呼ばれていることがある。


中名 馬鹿
和名 ウマシカ(バーロー、マールー)
學名 Cervus elaphus maral
英名
Maral Deer

 アカシカの中国固有亜種。見た感じちっとも馬っぽくないので、なんで馬鹿といわれるのかよくわからない。バーローとあマールーとかいうのは馬鹿の中国語読み。これからは「バカを馬鹿なんていったらウマシカに失礼だぞっ!」とかいって人々をまどわせるといい感じ。

 このサイト では、 馬鹿に Cervus canadensisu (ワピチ)の学名をあてているけれど、ページの内容は台湾産のシカの話みたいなので、なんかの間違いじゃないかな。


中名 喀什米爾馬鹿
和名 カシミアアカシカ
學名 Cervus elaphus hanglu
英名
Kashmir Stag

  喀什米爾=カシミール。アカシカのカシミール地方固有亜種。


中名 中亞紅鹿
和名 アジアアカシカ
學名 Cervus elaphus bactrianus
英名
Bukhara Deer

 アカシカの中央アジア固有亜種。



中名 水鹿
和名 スイロク(ミズジカ)

サンバー
學名 Cervus unicolor
英名
Sambar Deer

 水浴びが大好きな鹿だから。ヌマシカと違って、ほんとうに水が好きで、沼に首の下までつかってる姿が目撃されるみたい。学名の unicolor は単色の。という意味。ニホンジカなどと違って体に白点がないから。日本にいるオガサワラジカは1853年にペリーが黒船でやってきて放したスイロク(の一亜種)だそうです。なんでペリーは、わざわざシカなんぞ連れてきたのだろう。



中名 台灣水鹿
和名 タイワンスイロク(タイワンサンバー)
學名 Cervus unicolor swinhoei
英名
Formosan Sambar

 スイロクの台湾固有亜種。 



中名 恆河豚鹿
和名 ガンジスホッグジカ
學名 Axis porcinus annamiticusまたはCervus porcinus annamiticus

 ホッグジカの一亜種。恆河=ガンガー=ガンジス川。学名のporcinusはブタみたいという意味。体長に対して体高が曳くいので(つまり胴長短足)ブタのように見えるらしい。うーん、たしかに鹿にしては短足だけど、そんなにブタっぽくないけどなあ。


中名 喀拉米豚鹿

&T21B43B;拉密&T21458E;猪鹿(&T21B43B;拉密亜猪鹿)
和名 カラミアホッグジカ
學名 Axis porcinus calamianensisまたはCervus porcinus calamianensis

 ホッグジカの一亜種。喀拉米(&T21B43B;拉密&T21458E;)=カラミア。学名も、カラミアのホッグジカという意味。アラミアはフィリピンの島らしい。


中名 印度豚鹿

&T213A9C;威安猪鹿(馬威安猪鹿)
和名 インドホッグジカ
學名 Axis porcinus kuhliまたはCervus porcinus kuhli

 ホッグジカの一亜種。印度=インド。
 &T213A9C;威安も何かの音写だと思うんだけど、なんだろう?



中名 波斯鹿
和名 ペルシアダマシカ
學名 Dama mesopotamica

 波斯=ペルシア。ダマシカ(ファロージカ)の近縁種で、絶滅寸前の動物。學名は「メソポタミアのダマシカ)という意味。


ジャコウジカ亜科

 保育社『エコロン自然シリーズ動物 II』 によれば、ジャコウジカ亜科は 1属 1種ってことになっているので、この説を採用すると、下にあげるジャコウジカの仲間は、すべてシベリアジャコウジカの亜種ってことになるのでしょうか。でも、ネット検索でひろってきた学名を見ると独立した種として扱われているみたい。

中名 原麝
和名 シベリアジャコウジカ
學名 Moschus moschiferus
英名
Musk Deer
露名
Сибирская кабарга

 お腹にある分泌腺が麝香という香料のもとになる。

ロシア語の名前は
 http://www.bionet.nsc.ru/szmn/Gallery/mammals/Moschus_moschiferus.htm


中名 馬麝
和名 ヤマジャコウジカ
學名 Moschus sifanicus



中名 喜馬拉雅麝
和名 ヤマジャコウジカ
學名 Moschus chrysogaster
英名
Alpine Musk Deer

 ジャコウジカの仲間。馬麝と喜馬抗雅麝は同じものらしい(まさかげさん情報)。
 喜馬拉雅=ヒマラヤ。

↓に M. sifanicus と M.chrysogaster が同じものとして紹介されてる
http://www.washington.edu/burkemuseum/mammalogy/sichuan.html



中名 &T21348D;麝

&T21348D;&T21CB3A;

&T21CB3A;子

香&T21CB3A;
和名 カッショクジャコウジカ
學名 Moschus fuscus

 ジャコウジカの仲間。



中名 林麝
和名 コビトジャコウジカ
學名 Moschus berezovskii
英名
Forest musk deer

 ジャコウジカの仲間。


シラオジカ(オジロジカ)亜科

中名 &T21CB3A;
和名 ノロ(ノロジカ)
學名 Capreolus capreolus
英名
Roe Deer

 キバノロという鹿もいるけど、それとは別。




中名 駝鹿

麋鹿

扁角鹿
和名 ヘラジカ
學名 Alces alces
英名
Moose

Elk

 麋鹿という中国名はシフゾウのことを意味する場合もあるようです。たぶん、大型の鹿全般にたいして使うんだと思います。
 ヨーロッパヘラジカ(エルク)、シベリアヘラジカ、アメリカヘラジカ(ムース)など、棲んでいる地域によって違う亜種名で呼ばれることがあります。


中名 駝鹿

歐洲麋鹿
和名 ヨーロッパヘラジカ

エルク
學名 Alces alces alces
英名
Elk

 歐洲=ヨーロッパ。

 このリストを作り始めた時に、珍獣がたまたまみつけたサイトでは 駝鹿に Alces davidianus という学名がふってありました。でも、この学名が何を意味してるのか、まるっきりわからないのです。掲示板にたまに来てくれる、まさかげさんによると、駝鹿といえばヘラジカのことらしいのですが、学名はヘラジカのではないそうです。

最近になって、駝鹿についてもう一度しらべてみたところ、こんなサイトをみつけました。

http://www.mbtech.com/book/b008.html

 ここでは、英名、学名ともヘラジカのものになっているので間違いなさそうです。



中名 馴鹿
和名 トナカイ

ジュンロク

カリブー
學名 Rangifer tarandus
英名
Reindeer

Caribou

 トナカイという和名はアイヌ語がもとになっているらしい(大辞林)。ユーラシア大陸と北米大陸の北極圏に住んでいる。野生のものは数が減ってしまったが、古くから家畜化されて各地で飼われている。
 カリブーというのは北米産のトナカイを指す言葉。ユーラシアのトナカイとカリブーを別種とする研究家もいるらしいです。

新世界のシカ

シラオジカ(オジロジカ)亜科

中名 美洲麋鹿
和名 アメリカヘラジカ

ムース
學名 Alces alces americanus
英名
Moose

 美洲=アメリカ。アラスカやカナダに棲息するヘラジカの亜種。
 ヨーロッパにいるヘラジカをエルクといい、北米のヘラジカをムースという。ムースというのはネイティブアメリカンのなんとか族の言葉で「枝を食べる者」とか、そんな意味だったと思うのですが詳細は忘れました。また、アメリカでエルクというと、ワピチ Cervus canadensis のことを指す場合が多いのだとか。
 そういうわけなので、エルクとムースは使い分けませう。



中名 沼澤鹿
和名 アメリカヌマシカ
學名 Blastocerus dichotomus
英名
Marsh Deer

 インドヌマシカと違って本当に沼地にいるらしい。でも詳しい生体はわかってないらしい。学名は、ふたつに切り分けられた蕾のような角、という意味。実物を見たことないのでなんのことやら。



中名 南美草原鹿
和名 パンパスジカ

ベゾアールジカ
學名
Ozotoceros bezoarticus
英名
Pampas Deer
西名
Venado de campo

 アルゼンチンにある大草原パンパに棲んでいる鹿だから。南美=南アメリカ(南米)。



中名 智利巴鹿
和名 プーズー
學名 Pudu pudu
英名
Pudu

 イラストでしか見たことないけど、枝分かれしない小さな角をもった小型のシカ。アンデスの高地に棲んでるらしい。智利は国名のチリで、巴はプーズーのプだと思う。



中名 北方普度鹿
和名 オナシプーズー
學名 Pudu mephistophile

 中名は北の方に棲んでるプーズー(普度)という意味。和名はわからないけど、学名はたぶん、メフィストフェレス(ゲーテの『ファウスト』に出てくる小犬のかっこした悪魔)みたいなプーズーという意味。ううむ、実物が見たい。



■正体がわからなかったシカ
&T21348D;点鹿



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