「お歯黒」の研究 ( No.1 )
日時: 2003/04/07 13:12
名前: ちんじゅう

原三正『 「お歯黒」の研究icon


 お歯黒だけじゃなく、体の一部に手を加えて身を飾る方法の歴史や、その目的についてまとめた本です。
 古代人の鯨面の話や、アイヌやマオリ族の入れ墨のこと、大人になるための通過儀礼としての抜歯のことなども紹介されてます。

 『山海経』にある黒歯国の話もちらっとだけ紹介されています。海外東経に黒歯国とあるのを日本とする説があるけれど「この書は元来妄誕の書と評され、あまり信用されていない」だそうです。

 この本には、『山海経』以外の中国の古典に出てくる黒歯国のことも書いてあります。

 その東南には裸国・黒歯国がある。船で一年ゆけばたどりつく。 『三国志』

 船で一年ほどゆくと裸国・黒歯国にたどりつく。 『後漢書』

 また南に黒歯国・裸国がある。倭を去ること四千余里、船で一年ばかりゆけばたどり着く。 『南史』

 船で一年行ったところ、というのが黒歯国の決まり文句であることをあげて、ポリネシアやマレー、オーストラリアあたりの事ではないかということです。
 これは中国人がけっこう遠くのことまで知ってた可能性を示すもので面白かったです。

 ずいぶん前に掲示板で誰か教えてくれたことですが、ニューギニアに住むピットフーイ(モリモズ)という鳥が、羽に毒を持っていて、鴆(ちん)という毒鳥の伝説のモデルじゃないかっていうのだけれど、この鳥の存在を古代中国人が知り得たかどうかとゆうのは難しい問題だったりします。
 けれど、黒歯国・裸国の「船可行一年至」を信用するなら、中国人はかなり遠くの人と交流してた可能性も出てくるのですよね。

「お歯黒」の研究 ( No.2 )
日時: 2003/04/08 22:53
名前: ちんじゅう

 上記の本、ざっと読み終えました。前半で、入れ墨や抜歯の慣習を説明し、お歯黒もその延長として(いやその逆か?)とりあげ、後半はお歯黒の歴史、その意義、いつごろ廃れたのか、お歯黒の出てくる文学作品など、お歯黒一色でぐいぐいとひっぱっていってくれます。お歯黒ふぇちにはたまりませんわね(いないって)。

『アジア菜食紀行』 ( No.3 )
日時: 2003/04/08 22:41
名前: ちんじゅう

森枝卓士『アジア菜食紀行icon

 珍獣の食卓(再編集版)のネタにならんかと思って借りてきたもので、これから読むところ。とりあえず目次から。

●暑さがスパイスの文化を生む
●菜食主義は文明の象徴
●仙人になるためには肉食を絶つ
●不殺生戒の重視と因果応報
●乳製品の代用品としての豆腐
●精進屋台との遭遇
●菜食主義の仏教とグループとの出会い
●内臓までちゃんと食べる食文化
●「米」と「肉」の対立は大化改新から
●肉は生き物の一部という実感

『アジア菜食紀行』 ( No.4 )
日時: 2003/04/08 22:41
名前: ちんじゅう

おぼえがき

 ジャイナ教はアヒンサーという不殺生の戒律を厳しく守ることで知られているが、肉でも魚でもないのにニンニクとタマネギを食べることを禁じている。なぜかといえば、それらは根っこなので、食べてしまえば植物を殺してしまうからだ。
 しかし、ジャガイモを食べることは禁じていない。なぜならジャガイモは地下に沢山出来るので、一部を分けてもらっても植物を殺すことにはならないからである。

 水牛の乳は牛の乳よりも脂肪分が濃く、味が違う。インドでは料理によって水牛と牛の乳を使い分ける。

 ミルクを熱し、ヨーグルトから分離した水、もしくはクエン酸を加えると乳が凝固する。これに重しをして水を抜いたものをパニールという。

『アジア菜食紀行』 ( No.5 )
日時: 2003/04/08 22:41
名前: ちんじゅう

おぼえがき2

 日本で最初に肉食を禁じたのは、天武天皇の四年(675年)四月十七日のことで、「牛・馬・犬・さる・鶏」の肉を食べることを禁じるお触れが出たのが最初だという(『日本書紀』)。
 牛と馬は労働力になるからで、犬は番犬や猟犬になるから、猿は人間に似ているから、鶏は時を告げるのに役に立つから食べてはいけないということらしい。
 それ以外については猟の時期や方法についての制限があるだけで、食べること自体は禁じられていない。
 当時、食肉の中心だったのは鹿なので、あくまで役に立つ動物を食べるのをやめようというお触れだったようだ。

 日本で本格的に肉食を避けるようになったのは仏教が伝来してからのこと。ただし、それ以前にも喪中のような特殊な状況に肉を食べるのは不敬なこととしていたらしい。『魏志倭人伝』にも喪中に肉を遠ざけるということが書いてある。

『アジア菜食紀行』 ( No.6 )
日時: 2003/04/08 22:42
名前: ちんじゅう

 うーん、著者の菜食についての考え方としては、肉を食べなくても野菜や穀物で生きてゆける豊かな食文化が背景にある、ということのようです。これには納得なのですが、野菜の豊富さについては、豊富だよと書いてあるだけなのがちょっぴり不満。もっとも、具体例などあげつらねてゆくときりがないほど豊富だともいえるし、そういうことは民族料理の本でも読むべきなのかも。

 ジャイナ教徒の菜食の話など面白いことがたくさん書いてあって飽きませんでした。

『聞き書沖縄の食事』 ( No.7 )
日時: 2003/04/08 23:04
名前: ちんじゅう

ってなわけで、次。

日本の食生活全集47『聞き書沖縄の食事icon

 県別に地元の郷土料理を記録した本の沖縄編。これまた食卓(再編集)のネタ用に図書館で借りてきたもの。このシリーズの『聞き書アイヌの食事icon』は何度か図書館で借りた記憶がある。沖縄編も一度くらい借りたかもしれない。

 単なる料理の本というよりは、民俗学というか、文化人類学というか、わりと真面目な本のような気がします。でもカラーグラビアがいっぱいついているので、下手な料理本などより食欲中枢を刺激しまくる悪い本だと言わねばなりません!!!

 うーん、沖縄って美味しそう。おこづかいに余裕ができたら(いつできるんだ)『アイヌの食事』とセットで買っちゃおうかなあ…

『聞き書沖縄の食事』 ( No.8 )
日時: 2003/04/09 16:00
名前: ちんじゅう

おぼえがき

●豆腐飫(とうふよう)の作り方
 那覇や首里だけに伝わる食べ物。手間がかかるのでどの家でも作るというものではない。
 豆腐を指の一節くらいの厚さに切り、塩をしてふきんをかけて陰干しする。汁が飛んだら賽の目に切り分けて、さらに陰干し。この作業に二、三日かかる。
 味噌とおなじ黄麹と泡盛をまぜ、乾いた豆腐を混ぜて口の広い瓶に入れて寝かす。ここで唐辛子を入れる人もいる。半年くらい寝かせると完成。

 売り物みたいにはならんかもしれないけど、自作できないものではなさそうね。でも、できあがったものが中国の腐乳と比べてどうかっていうと疑問よね。中国製なら安いし…

●うずら豆の沖縄名
 ハワイ豆(糸満)

●サメ
 サメのことを沖縄ではサバという(そういえばピナーシサバという大魚の話があったっけ)。さまざまな種類のサバが食用にされる。味のよくないものはかまぼこにされる。味のいいものは煮物などにするが、匂いが強いのでイーチョーバー(茴香葉)と一緒に煮る。

●アヒル(家鴨)
 喘息の薬として食べる。

●ヤギ
 山羊汁はヒンジャーグスイ(冷えた体を温める薬)といって寒い冬に食べる。薄い塩味にしておろし生姜を混ぜる。桑の葉、ニンニクの葉、よもぎなどを入れて煮る。
 山羊のことはビージャーという。ビージャーは妊婦の滋養強壮によく、疲れなおしにもいい。祝い事のあるときのよく食べる。

●あずき(小豆)の別名
 アカマーミー(赤豆)
 アジチャー
 アチグワチャー(八月豆)
  以上、どれも中頭の言葉。なお、おはぎのことはフチャギ、赤飯のことはアカメー(赤飯)という。
  やんばるでは小豆と蛸(タフ)を煎じたものを食べると流産すると言われている。わざと食べて流す人もいたという。

●スウティチクジ(ソテツ澱粉)
 沖縄では、サツマイモから澱粉を作り保存食にするが、不作だった年はソテツを使うことがある。
 ソテツを切ってきて、幹の皮を剥いてしまう。中の白い身を四つ割にして芯をとりのぞく。これをすり下ろし、水をはった桶の中でかき混ぜると澱粉が水に溶けるので、繊維の部分だけ木綿袋などですくい取る。
 この水を一晩おいておくと澱粉が沈むので、上澄みの水だけを静かにこぼす。残った澱粉をすのこに広げて天日で乾燥させる。
 澱粉は水でといたものを加熱して練り上げるなどして食べる。

●タンポポの別名
 マーオーフワー(やんばるの言葉)タンポポの葉のこと。

●ノビルの別名
 ハルビラ(やんばるの言葉)
  ニラのことはチリビラという。

●すべりひゆ
 ミンブトカー(やんばるの言葉)
  身が太いという意味か? 洗ってから茹でて味噌和えにして食べるがヌルヌルしていて好き嫌いが多い。

●魚介類の名前(ネット検索のほうが早そうだが)
 蛸:たふ
 テナガダコ:シガイ
 スナダコ:イヌージ
 キビナゴ:スルルー スルルグァー
 ナマコ:シッキリ

●ナマコの食べ方
 シッキリ(ナマコ)は腸を取りのぞいて洗い、時間をかけて水煮する。サツマイモを煮る鍋の、芋の上にのせて柔らかくなるまで炊く。
 やわらかくなったら薄く切り、味噌とシークワーサー(ヒラミレモン)で味付けして和え物にする。これをシッキリイエームン(ナマコの和え物)という。
 また、脂で炒めてみそ味にして食べるのをシッキリイリキャー(シッキリの炒め物)という。

●シークワーサー(ヒラミレモン)
 柑橘系の果物。ヒラミレモン。
 調味料として、酢の代わりに使う。やんばるでは芭蕉布の着物を洗うのに使う。



 …だいたいこんなもんかな。
 食卓(再編集版)用の抜き書きなので、本を読めばもっと面白いことがいろいろ書いてあります。

『マメな豆の話』 ( No.9 )
日時: 2003/04/22 23:08
名前: ちんじゅう

マメな豆の話icon

 これも食卓(再編集版)用に借りてきたもの。何冊か本をかかえて、そろそろ手続きをして帰ろうとしてたときにこれを見て、タイトルにクラッときて、ついでに借りてしまった。

 …今、読み中ですが、これは…むふふふふ。
 かなり美味しい本です。買ってしまいそう。文庫(新書)だし。

 著者はあっちこっちで豆料理、豆製品ばかり食べてるみたいで、どういうものを具体的にどう使うという話が沢山出てきて食欲と好奇心を刺激されます。

 特に、豆腐の話だけで 30 ページくらい費やしてるんですが、朝食に甘いシリアルを食べながら、合間に塩辛いものが欲しくなって中国の腐乳や沖縄の豆腐ようをクラッカーにのせて食べる話とか、ビビっとくる話が多くてたまりません。今めちゃくちゃ豆腐が食べたいです。ついでにチーズも。
 臭豆腐の作り方を読んでいたら、ブルーチーズが食べたくなってきました。


おぼえがき

●納豆は日本、韓国のほか、中国南部、ラオス、タイなどの東南アジア、さらにはネパールでも食べられている。どこかで発生したものが伝播したのではなく、各地で個別に発生したと考えられる。

 東南アジアでは、茹でた大豆を発酵させペースト状にして煎餅のように伸ばして乾燥させたものを焼いて食べるのが多い。
 また、茹でて潰した大豆に塩や唐辛子、潰したなどで味をつけて発酵させ、味噌のようにしたものもある(山形の雪割り納豆と似たようなものか?)。
 日本の納豆のように糸をひくものもあるが少ない。納豆だけを食べるよりは、料理に使うことが多いという。料理に使う前に水洗いして粘りをとってしまうこともある。

 ネパールには、味付けして乾燥させた納豆がある。生のものもある。どちらも料理に使う。炒め物に加えたりカレースープなどに入れる。

 ブータンの納豆は長期間発酵保存するので半流動体で臭い。

 ダージリンからシッキムにかけては、日本の納豆のように糸を引くものが好まれる。

 中国四川省・雲南省でも納豆を食べている。納豆に塩を加えて丸めて干したものなどがある。

 西アフリカではイナゴ豆などの野生の豆を使って納豆のようなものを作っていた。固い豆をよく煮てから皮をとって乾燥し、もう一度煮てから葉を敷いた籠にいれて二、三日おくと発酵してやわらかくなる。これにシアーバターノキの灰を混ぜて丸めて乾燥させて保存する。食べるときは水にといてスープに加えるなど、味噌のように使う。
 現在ではイナゴ豆が手に入らなくなってきたので大豆で同じものを作る。ダウダワ、スンバラなどと呼ばれている。

 これらは、納豆菌、枯草菌で発酵させたものだが、インドネシアにはテンペといって、大豆をクモノスカビで発酵させて柔らかくし、レンガのように固めたものもある。オチョム、ダケなどともいう。

●ソラマメ
 中国の豆板醤はソラマメで作る。乾燥ソラマメを砕いて皮を取りのぞき、一晩水につけてから水をきってカボチャの葉でくるんでおく。一週間ほどして黄色いカビが生えたら、塩・唐辛子・花椒を混ぜて良く潰し、瓶などに入れて密閉しておく。四川省ではこれを真夏に作る。


著者は『東南アジア市場図鑑・植物編icon』とうい本も書いてるんですけど、アジア食材に興味のある人には必携の書という感じです。

『江戸の妙薬』 ( No.10 )
日時: 2003/04/18 13:23
名前: ちんじゅう

鈴木昶
江戸の妙薬icon
(版元品切れなのか、boople では注文できないみたい)

 特になんの目的もなく図書館で借りてきた本です。

 孫太郎虫や陀羅尼助など、昔から愛用されてきた手作りの家伝薬について、その効能、製法、歴史、伝説などを説明した本です。

 1976年に、厚生省が施行した「医薬品の製造および品質管理の基準」という法的規制によって、家伝薬は手作りであることを理由に製造許可がおりなくなったのだそうです。職人さんたちは以前の製法を捨て、膏薬に防腐剤を添加するなどの近代化をはかりましたが、そのせいで品質が悪化したものもあったとか。

 そのような現状を憂いで書きつづられたものなので、家伝薬への愛着と、伝承の知恵への尊敬があふれた本でした。

[目次から]
天台烏薬・蝦蟇の油・孫太郎虫・湯の花・外郎・消毒丸・陀羅尼助・万金丹・薬用人参・黒焼・梅肉エキス・忍術丸・反魂丹・万能膏・打身丸・実母散・椿油・五官薬・熊胆・ヤイト・紫雪・飴薬・千金丹・話中散・目洗い薬・中将湯・養命酒・紅花・くすりの町・巡礼・あとがき

 宇津救命丸(五官薬)や浅田飴(飴薬)、養命酒など、今も名前が残っている薬も出てきます。

『オリガ・モリソヴナの反語法』 ( No.11 )
日時: 2003/04/22 10:46
名前: ちんじゅう

オリガ・モリソヴナの反語法icon
 小説。1960〜64年、父親の仕事の都合でチェコスロバキアのソ連大使館附属の普通学校に通った主人公(日本人・少女)は、在学中に出会ったダンスの教師オリガ・モリソヴナにひかれて行く。いったんは帰国するものの、ソ連崩壊後におとずれたロシアで老女教師オリガの半生を追ううちに、オリガとロシアの過酷な歴史と直面する。

 あんまり珍獣の館っぽくはない本ですが読み始めたので一応記録。
 しばらく前になんとなく買ったまま放置していたものです。決して嫌いなタイプの本ではなく、かなり面白く読み進められるので不満ありません(まだ途中までしか読んでませんが)。

 でも、なんでこれをわざわざ買ってしまったのか自分でも首をひねってしまう。小説をハードカバーで買うなんてマネはここ数年したことがないのに。魔が差したというのも変な話ですが、そうとしかいいようがない出会いでした。平積みになってるのを見て、ほしいと単純に思い、何も考えずにレジでお金払ってた。冷静に考えるとやばい買い物の仕方だと反省気味。

『誰がダイエットをはじめたか?』 ( No.12 )
日時: 2003/04/22 10:46
名前: ちんじゅう

 『オリガ…』は小説だし、買った本なのでちびちびもったいつけて読むとして、図書館からみょーな本をいくつか借りてきたので記録しておこうかと思います。

誰がダイエットをはじめたか?icon
 ファッション雑誌アンアン誌上をにぎわした、ちょっと太めなモデル、ケニー・サアリが誌上から姿を消したのは太ったから?
 再びアンアンに登場したケニーは無謀とも思える食餌療法でダイエットに望み、見事スマートな体を "とりもどした" 。
 しかし、アンアン初登場時の体重とダイエット直前の体重はほぼ変わっていなかった。変わったのは女性の理想体型のほうだったのだ。
 ダイエット記事から 10 年、すでに 30 歳を越えているはずのケニーと対面する著者だったが…

 1992年初版の本で、今はもう絶版みたいです(まあそうだろうな)。なんでこんな本を借りてきたかというと、別にダイエットがしたかったわけじゃありません(いや、できるもんならしたいけど)。図書館の本だというのに、誰かが大胆にも鉛筆で線を引いちゃってまして、その線の部分を読んでいたら、これを読んだ人はダイエットになんらかの恨みがあったのではないかという思いにかられ、そのまま借りてしまいました。
 一通り目を通してみると、鉛筆線の人は途中で飽きちゃったらしく、後ろのほうにはもう線は引いてありませんでした。ちょっとつまんない。どうせやるなら根性入れてやれいっ(って図書館の本に書き込みなんかしちゃだめ)。
 そのような、どうでもいいきっかけで読み始めた本でしたが、明治時代の婦人雑誌にすでにダイエット記事が載っていることなどが書いてあって、それなりに面白うございました。

おぼえがき

●明治 41 年『婦人世界』 6 月号 医学博士・木村徳衛
「肥えた人は如何なる食物を取るべきか。ご婦人のうちには肥っている方が多いが、どうしたら肥満を治すことが出来るかといふに、一番有効な方法は一切食物を食べぬことです。何にも食べなければ、痩せることは受合ですが、餘り食べずにゐると生命まで痩せて死んでしまひますから、断食は危険な方法といはなければなりません」
「(牛乳療法について)これは最初に一升ぐらいの牛乳ばかりを飲み、だんだん分量を減らして、痩せるまでそれを続けるのですが、これも可なり危険な方法ですから、うつかり実行してはなりません」
「世間には、肥満を治すために、酸類、殊に酢を飲む人があるさうですが、これは実に飛んでもない心得違いです。医師について食物の相談をするのはよいが、素人考えの手治療はくれぐれも注意しなければなりません」
「第一に多くのものを食べぬことが肝要です。次に注意すべきは砂糖類をとらぬこと。パンや芋のやうな澱粉質をとらぬこと。甘い果物をとらぬこと。酒を飲まぬことです」

●明治 42 年『女学世界』 4 月号 医学博士・大森柳二
「毎日毎日同一の食物或いはよく似た食品を用ゐるがよい。併し、これでは飽きて困ると思ふなら、日本人として誠に容易で、且つ多くの人の嗜好物となつて居る漬物を副食物とするがよろしい。漬物なら大抵の人は毎日毎日続けて用ゐることが出来るであらう。これ以外には痩せるための食品といえば、昆布、わかめ、海苔等である。併し、ご承知の通りこれ等の食品は不消化物であるから、決して多食してはならぬ」
「太つた人は睡眠時間を減らして、 5 時間か 6 時間ぐらいにせよ」
「入浴回数を多くせよ」
「昔から呑気な人は肥えるとは、人のよくいふところであるが、これは事実である。心の持ち方によつて実際肥えたり、痩せたりするものである。故に痩せたいと思ふ婦人は、精神を労する必要がある。併し、単に精神を労するがよいといつても、その意味が明白であるまいが、数学の如き科学に依つて、難解な問題を試みたり、又は解し難い英文を翻訳して見る手段などはこの目的に対して有効な手段である。而してこの学科が終つたなら、直ちに庭又は郊外に出て、盛んに運動を行なふのがよろしい。次いで入浴をして食事をすると云ふ順序にせば大いに効がある」
「新聞紙上には痩せる薬の広告が出て居るが絶対的に信用することは出来ない。現今西洋で行なはれて居る信用ある痩せ薬と云えば、沃度知林であるが、これは一日に大人には三デシグラムを与へる、その翌日には六デシグラムを与へる、またその翌日には九デシグラムを与へる、と云ふ風に毎日増量をして行くのであるが、これを如何程迄増してよいかは、その人の体質にもよるから一応医者と相談するがよろしい」

●昭和 8 年『婦人公論』美容家・メイ牛山
「思いのまゝに痩せも肥りも出来る法 私こうして 10 日間に 10 ポンドやせました」
「昼食 - グレープフルーツ 1 個、夕食 - ひらめのフライ 1 皿、クラッカー 2 枚、アイスウォーター 1 杯」…というような西洋メニューをとりながらロシアダンスのポーズで数回部屋の中を歩く。
「この様に痩せたり肥ったりしようと試みることは、私の悪趣味かも知れません。ただし、美しい形を保つことは、洋装をせなる貴女方にとって絶対に好ましいことです。ただその為に何らかの参考になれば幸いです」

『タッパ−を11倍使いこなす本・改訂版』 ( No.13 )
日時: 2003/04/22 10:47
名前: ちんじゅう

タッパ−を11倍使いこなす本・改訂版icon

 1989 年 9 月に出た同名の本の改訂版。改訂版は1995 年 12 月初版。
 まったくなんの目的もなく図書館で借りてきた本。読みたかったわけじゃなく「11倍」というところにビビっとくるものを感じたのです。10倍じゃなく11倍なんですよ、心をゆさぶられるものを感じるでしょう?
 こんなの絶版に決まってると思ったら今でも入手可能だそうです。誰が買うんじゃ、こんな本??
 まだちゃんと読んではいないのですが、タッパーというものは、アメリカのタッパーさんが考案したものだとか、知られざるタッパーの世界を垣間見られそうです。図書館って、ハズレをおそれずになんでも借りられて好き。

 本の内容は、タッパーウェアの歴史を簡単に説明し、便利な利用法をどどーんと紹介したものでした。料理のレシピもいろいろ載ってますが、冷静に見ると「タッパーで保存してるだけで、作ること自体はタッパーとは関係ないんじゃん?」というようなのも多いです。でも、シソジュースを作ったり、味噌の仕込みもできますよ、なんてこと言われると、普段めったにやらないことが簡単にできるような気がして、タッパーに明るい未来を感じてしまうから不思議。

『タッパ−を11倍使いこなす本・改訂版』 ( No.14 )
日時: 2003/04/22 23:03
名前: ちんじゅう

おぼえがき

 タッパーウェアは 1945 年、アメリカ人の化学者アール・S・タッパー(1910〜1983)によって考案された密閉式プラスチック容器である。
 タッパーウェアはタッパーウェア社の登録商標である。

 発明の由来(伝説化していて、どれが本当かわからない)
 ・タッパー氏が煙草を保存するために発明
 ・第二次大戦中の食糧難に苦慮する奥さんのために発明した保存容器
 ・トマト好きだった奥さんのために発明

 最初は値段も高く、まったく売れなかった。そこで、販売員が製品を持参し、魅力を説明しながら売る訪問販売を始めた。
 その後、ダーインダストリーズ社がタッパーウェア社を買収、訪問販売方式を「ホームパーティー」方式に発展させた。1950 年頃のことである。

 日本に入って来たのは 1963 年(昭和 38 年)、東京オリンピックの前年である。
 発売開始当初は「ホームパーティー」方式で販売していた。
 タッパーが欲しくなったら自分で説明会(ホームパーティー)を主催し、デモンストレーターを呼ぶか、近くで開催されるホームパーティーに出席する。ホームパーティーは販売員がお店ごと出張してくる説明会のようなもの。
 ホームパーティーを主催する人(ホスト、ホステス)には売り上げに応じてタッパー製品等のプレゼントがある。

 テレビや雑誌のコマーシャルに高峯秀子を起用し「あなたもタッパーウェアのホームパーティーに出てみませんか?」と宣伝した。
 高峯秀子は滅多にコマーシャルに出ないことから「コマーシャル界の処女」と呼ばれていた。


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 そういえば昔はタッパーウェアがお店で買えなかったので特別な人が持っているような印象だった気がする。今は 日本タッパーウェア株式会社 からカタログを取りよせて通販もできるみたいだけど。
 本の巻末には、デストリビューター(販売代理店)の一覧があって、今でも電話すればデモンストレーターを呼んでパーティーを開けるみたいな雰囲気だった。友達を呼び集めて説明会を開く方式は面白いけど、隣近所との付き合いが薄くなってる今だと、下手をすると変な商売と間違われて白い目で見られそう。そもそも、こういう方式は日本人にはどうよって気もするけど、これだけタッパーもどきが世に氾濫してるところを見ると、正しいタッパーウェアもかなりの人気だったのだろうと思います。製品が良ければ広まるものなんだと、ちょっと感心。

『迷信・俗信大百科』 ( No.15 )
日時: 2003/04/22 20:54
名前: ちんじゅう

迷信・俗信大百科icon
 絶版というか、版元品切れなのかもしれませんが、現在は流通してないっぽいです。

 タイトルの通りで、世界各国の迷信や俗信を集めた本です。図書館で借りてきたのですが、一気に読破するより思いついた時に思いついた項目について読むのが楽しい気がします。

『日本異界紀行』 ( No.16 )
日時: 2003/04/23 14:52
名前: ちんじゅう

日本異界紀行icon

 石神井公園のワニ騒動を都市伝説として考察した「大都会ワニ伝説考」、某専門学校生の無記名投稿による怪談や都会に語り継がれる怪談を通して身近にある異界の入り口を示す「すぐそこにある異界」、日本各地にある霊山を紹介する「死霊の還る山」の三本立て。

 「すぐそこにある異界」で、学生が無記名で語る体験談を読んでいると、『捜神記』や『今昔物語』のような古典を読んでいるような錯覚にとらわれました。あと 10 話語ると百物語になってしまうのでこれで終わりにすると締めているのもありがちではあるけれど面白く、残りの 10 話、自分の経験で補完して幽霊でも招いてみるかと記憶の隅をつついてみたくなる。

 でもやっぱり面白いのは石神井のワニ。石神井公園は遠いので見に行くことはなかったけれど、あのときは大騒ぎでしたからねえ。

『「河童」を知れば日本の古代史がわかる』 ( No.17 )
日時: 2003/05/08 17:37
名前: ちんじゅう

文芸社『「河童」を知れば日本の古代史がわかる』

 2002年に出た新しい本で 文芸社のサイト で通販もできるみたいですが、boople では扱っていないみたい。そういうこともあるのね。

 日本古代史において、河童の登場とおもわれる部分について考察する本(他に小説「爺ちゃのはちみつ」「天草四郎時貞」を収録)。

 文字が大きくて、書いてあることも文章的には難しくないのだけれど著者が「知ってて当然」と思っていることを知らないで読むと意味不明な点もあってちょっと悩む。


おぼえがき

●八代の津に上陸した河童

 周の太王には太伯(兄)と季歴(弟)という息子がいて、季歴の息子である昌は、生まれながらに聖なる顔をしていた。そこで、太王は次男の季歴に周の国をつがせ、さらに昌に位を譲りたいと考えた。

 そこで問題になるのは長男の太伯。父や弟に誅殺されることをおそれ、自ら髪を切りオカッパ頭になり、顔に入れ墨をして「王たる資格はありません」という態度を示した。

 その後、太伯は呉という国をつくり、呉は越という国に滅ぼされる。越王については「越王の人と為り、長頸烏喙なり、與に楽を共にすべからず」(『越世家第十一』)という文章が残っている。口が烏のように尖っているのは歯の粒が大きくて出っ歯だという悪口だ。

 越に国を滅ぼされた後、呉の太伯は日本に渡ったと著者は考えているらしい。その根拠として十六〜十七世紀に日本で布教していた宣教師たちが皆「日本は呉の太伯の子孫」と言っていることをあげている(なんかの文章をそのまま引用してるだけなんじゃん?)。

 オカッパで文身(入れ墨)の太伯の渡来が、河童のもとになったのではないかと。なお、突然出てくる越王は出っ歯のくだりは、著者が「呉と越は同族」という説を支持していることから来るもので、ハッキリとは書かれていなかったが太伯も出っ歯だったんじゃないかと言いたいのだろうか。

 烏喙に出っ歯という意味があるのなら、『山海経』にある「讙頭国はその南にあり、その人となり人面で翼があり、鳥の喙、いまし魚を捕う」というのも、魚食いの異民族が出っ歯であったということを言っているのだろうか。


●その他
 『論衡』によれば、周の時代(紀元前十世紀ごろ)に、すでに倭人が来て暢草を献上したとある。このころの日本は縄文時代後期。

 『魏略』の逸文には倭人たちが自ら「呉の太伯の後裔である」と言ったとある。

関連 >>31『論衡』

Re: 日々の読書 ( No.18 )
日時: 2003/04/24 15:41
名前: 涜神犯人  <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>

一応、「化け物」と「古代史」に関係するので…

映画宝島Vol.2 怪獣学・入門!
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=07583959

この本(国会図書館では雑誌新聞に分類)の第一章『ゴジラは、なぜ皇居を踏めないか?』で説かれている「ゴジラ英霊説」が実際の映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』に取り入れられているようです

この映画は、珍獣様が連絡用スレッド
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/are/patio.cgi?mode=view&no=2
のNo.30記事で書いておられるように「にやっ」とさせられるところが何カ所もあって、この英霊説もその一つ、
この本を読んで件の映画を見ると、他のゴジラ映画と違い、蛮神の世界感で作られた映画で、ゴジラ退治は神殺しであり現代版八岐大蛇伝説であることがよくわかります

また、初版と二版以降では記事が差し替えられている箇所があるそうで…
詳しくは次のページ等をご参照ください

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kuririn/toku_003.htm
http://www.bekkoame.ne.jp/~cokanba/data.html

我が家にあるのは第二版だから件の箇所は

佐々木が書いた『ウルトラセブン』第十二話「遊星より愛をこめて」は、諸般の事情で現在は封印されている。

とだけしか書いてありません。当然「幻の12話を20年間追い続けた男」は完全に削除されています。古書店に初版があれば絶対に「買い」です

『映画宝島Vol.2 怪獣学・入門!』 ( No.19 )
日時: 2003/04/24 17:16
名前: ちんじゅう

> 『映画宝島Vol.2 怪獣学・入門!』
 この本は遠い昔に買った記憶があります。
 ほぼ初版の頃に買ったと思うのですが、ウルトラセブンの十二話の話はちっとも覚えてませんでした。家中をひっくりかえす覚悟があれば探せそうですが、とても決心が付かないのでこのまま秘蔵しておくことにします。

 実はわたくし、セブンの幻の十二話ってやつを見たことがあります。どういう経緯で残ってたのかはよくわかりません。その手の古い映像が、ファンの間でやりとりされてるらしくて、知ってる人が持ってたので見せてもらいました。

 面白かったですが、なんでわざわざ大騒ぎして隠す必要があるのかはよくわかりませんでした。当時は何かあって封印したのでしょうが、ひょっとして、今なら大した問題にはならないのではないかとも思えます。そんなの他にもありそうだし。
 けれど、あの時代の古いフィルムは、一度破棄すると関係者ですら手に入らないこともあるでしょうから、あえて復活させようともしなかったってことなのかもしれませんねー、古傷をほじくり出して騒がれるのもめんどくさいですからねえ。


ちなみに、連絡用スレッドのゴジラ関連記事は
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/are/patio.cgi?mode=view2&f=2&no=24-26
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/are/patio.cgi?mode=view2&f=2&no=30-33

ちょっとした法則を覚えると、こんな風にレス番号指定の URL も書けます。

『三つ目がとおる(1)』 ( No.20 )
日時: 2003/04/25 23:31
名前: ちんじゅう

講談社プラチナコミックス『三つ目がとおる(1)』手塚治虫
◆収録作品
 「三つ目登場」
 「第三の目の怪 連載時タイトル:赤い案内書(ガイドブック)」
 「魔法産院」
 「酒船石奇談」
 「寿命院邸の地下牢」
 「三角錘(ピラミッド)コネクション」 
 「文福登場」←単行本未収録だった作品!

 昨日(2003/04/23)発売になった本で、単行本未収録だった「文福登場」というエピソードが収録されてます。近所のコンビニを三軒くらいまわってやっとみつけて買いました。

iconicon
三つ目がとおるicon
boople でお取り寄せできるようになりました。
でもきっとコンビニで買ったほうが早いの(笑)

 問題の「文福登場」ですが、単行本に収録されてないというわりに、なんか知ってるような気がします。雑誌掲載時には読んでなかったはずなのに、なんで??
 絆創膏をはがしてテストを受けさせる話が枕になっておりまして、ひょっとするとこの部分だけ別のエピソードに使われているのかも。珍獣が知ってる話では、写楽くんが絆創膏をはがされて、テストの時間中ずーっと用紙を見つめて何も書かないのですが、あとで答えがあぶり出しのように浮き上がってくるんだった気がするんです(でも文福…にはあぶり出しの部分はない)。
 手塚治虫漫画全集の DVD を持っているので根性のある時に読み返してみようと思います。PDF ファイルで漫画を読むのってけっこう大変なので、せっかく買ったのにろくに読めなくてブルーな気分…(紙の本でも全集を半分くらい持ってたりするんですけどね)。

 なお、漫画全集版の『三つ目がとおる』は、発表順ではないのですが、今回の本は順番通りに作品が収録されているようです。全集だと第7巻に収録されている分です(少なくとも二巻目までは発表順で収録されるようです。その後はちょっとわかりません)。

 次号の発売は5月14日で、三つ目族の謎編「重すぎる小包」「天人鳥」「余呉明神の秘密」「湖底の財宝」「破壊への遺産」が収録される予定です。

『映画宝島Vol.2 怪獣学・入門!』 ( No.21 )
日時: 2003/04/24 21:26
名前: ちんじゅう

>>18-19
 書き忘れてました。
 ゴジラ英霊説、ゴジラは皇居を襲わない、というのを初めて読んだのはまさに『怪獣学・入門!』でした。あの映画で「兵隊さんたちの残留思念」のようなことを言ったとき、真っ先に思い出したのはこの本でした。

封印!「ひばくせいじん」 ( No.22 )
日時: 2003/04/25 18:35
名前: 原田 実  <douji@joy.ocn.ne.jp>
参照: http://www8.ocn.ne.jp/~douji/

セブン12話は番組の内容そのものが直接、問題になったわけではありません。
小学館の学習雑誌に収録されていた怪獣図解で、セブン12話のスペル星人の別名が「ひばくせいじん」と書かれていたのを小学生の女の子が見つけ、「被爆者を怪獣扱いしている」と言い出したのを、
親が同調して騒いだために社会問題化してしまったのです。今にして思えば、本当に差別意識を持っていたのは、その子供やいっしょになって騒いだ親の方だと思うのですが・・・ちょうどその頃、『ぼくらマガジン』に『ハルク』の連載が始まっていたのですが、マスコミに「ここにも被爆怪獣が」と叩かれ、雑誌ごとつぶされてしまいました。『ハルク』を含むマーヴェル・コミックの日本上陸作戦はそれで出鼻をくじかれ、本格的に日本で紹介されるまで、さらに10年近くの歳月を要することになります。
ちなみにその直後、『仮面ライダー』ごっこで子供が高いところから飛び降り、怪我をするということでこれまた社会問題化したり、ドルゲという姓で日本在住のドイツ人の子供が学校でいじめられるという問題が生じて、番組の打ち切りが決まったりと70年代初頭の第二次怪獣ブームは一方で特撮番組受難の時代でもありました。
最近でも、ポケモンは子供を洗脳している!とか、ゲーム脳になった子供は白痴化するとか騒いでいる人がいますが、大人に理解できないで子供が夢中になっているものは、いつの世も大人にとって脅威なのです。

ドルゲ君 ( No.23 )
日時: 2003/04/26 21:38
名前: 涜神犯人  <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>

バロムワンからですよね
「このドラマはフィクションであり登場する人物・団体・事件等は架空のものです」ってやり始めたのは

Re: 日々の読書 ( No.24 )
日時: 2003/04/26 23:18
名前: 晴香

私は十二国記って言う本読んでるんですけど、その本にも吉量とか天馬とかいろいろでてくるんですょね♪私もそういうもののけ類とか可愛い(?)から大好きなんですけど・・・vvあ、猛極も出てました♪
だけど山海経動物記とかには、麒麟とかって意外と描いてないのでしょうか?あと天伯(龍の体に翼がある)とか・・・

『十二国記』と『山海経』 ( No.25 )
日時: 2003/04/27 12:08
名前: ちんじゅう

>>24
 晴香さん、はじめまして。珍獣です。

 十二国記は最初のほうだけちょろっと読みました(いずれ全部読もうとは思ってるんですけど)。『山海経』をはじめとする中国の伝説上の怪獣がかなりでてくるので、このあたりから中国の伝説に興味を持つ人は多いみたいですね。

 日本で普通に知られている中国の伝説は、長い歴史の間にいろんな人が整理して今に伝わっているのですが、『山海経』は、大ざっぱに言うと 2000年くらい前に作られた古い本なので、記録されている伝説もかなり古いみたいです。新しく生まれた伝説は『山海経』には出てきません。

 それで、麒麟という動物ですが、『山海経』には直接は出てきません。でも、この時代に麒麟が知られていなかったかというと、そうでもないんです。韓流という人は首が長く、人面でブタの鼻、のような体で足取りがたどたどしく、豚の足を持っていると書いてある部分がありまして、「麟」は今で言う麒麟のことだと言われています。

 ただ「麟」という字は「鱗(うろこ)」と発音が一緒です。ひょっとすると幻獣の麒麟とはなんの関係もなく、単純に「ウロコがある」という意味かもしれないんですけど。

 それと龍ですが、『山海経』にはいろんな種類の龍が出てきます。でも、天伯という名前のものは出てきませんねえ。「翼のある龍」というのも『山海経』には出てきません。でも、翼のある蛇だったらけっこういますよ。

山海経動物記・ヒイ
山海経動物記・鳴蛇
山海経動物記・化蛇『 3x3 eyes 』にも名前が出てきますね

 どれも蛇だと書いてありますが、現れると旱になったり、洪水がおこったりして、現在知られている龍の性質に似てるような気がします。

<十二国記リスト>
 講談社文庫版でそろえてみました。今出てるのはこれで全部でしょうか?

月の影影の海(上)icon』『月の影影の海(下)icon
風の海迷宮の岸icon
東の海神(わだつみ)西の滄海icon
風の万里黎明の空(上)icon』『風の万里黎明の空(下)icon
図南の翼icon
黄昏の岸暁の天(そら)icon
華胥の幽夢(ゆめ)icon

 講談社X文庫ホワイトハート版のほうが表紙が綺麗でおすすめなんですけど、それだと全巻そろえるのは難しいかもしれません。

Re: 日々の読書 ( No.26 )
日時: 2003/04/27 10:04
名前: ちんじゅう

>>22-23
 『バロム1』というと、1972年ですか。特撮でもアニメでもないですが、『火の鳥・羽衣編』が COM という雑誌に収録されたのが 1971年だったかな。タイトルのとおり羽衣伝説をベースにした短編なんですが、最初に発表された時には未来の世界で核戦争があって、火の鳥に過去へ連れてきてもらった女の人の話ってことになってまして、「過去の世界で結婚して生まれた子供」が奇形だったんです。

 ただそれだけなんですけど、その後この形のままで単行本化されることはありませんでした。胎児が親と一緒に被爆すれば別なんですけど、漫画の設定のように親にのみ被爆経験があって、ずっと後に結婚して生まれた子供が奇形というパターンは現実にはないというのが定説らしいです。
 でも、この程度の設定で大騒ぎするほどのことかなぁと思ったりもします。差別意識で描いてるわけじゃなく、むしろ戦争なんかイヤだという叫びにあふれた作品でしたし。1970年代というと、戦後 20 年以上たってますが、実体験のある人が今よりずっと若くて元気だった時代なので、いろいろ風当たりが強かったんでしょうかねえ。『はだしのゲン』とか読んでると「ピカが伝染する」と言われて差別されてた時期もあるみたいだし…

 なお『羽衣編』は、その後内容をすっかり改めて単行本化されてます。新しいやつもかなり好きです。全体の作りとしては描き改めたものの方が完成度が高い気もします。最後のページで人形が…いや、これはやめとこう。

角川書店『火の鳥 復活・羽衣編icon』B6版(たぶんハードカバーのやつ)
角川文庫『火の鳥 復活・羽衣編icon
講談社・手塚治虫漫画全集『火の鳥8 復活編・羽衣編icon

 ちょっと前までは朝日ソノラマからも何種類か出てたんですけど今は出てないっぽいですね。なんにしても、単行本化されてるやつは全部描き直されたものです。COM に掲載されたオリジナル版は、下記で復刊運動中みたいです。すでに復刊交渉予定になってるみたいですが、角川あたりで出してくれるといいですねえ。

復刊ドットコム・「火の鳥」単行本未収録話

Re: 日々の読書 ( No.27 )
日時: 2003/04/27 19:43
名前: 晴香

へぇ〜そうなんですか〜。やっぱりこういうのは興味をそそられます♪
十二国記はそれで全巻ですね。ホワイトハートの方が私もお勧めです♪やっぱし絵が綺麗ですからねぇ。
私は黄昏以外全部ホワイトで・・・(黄昏はまだ買ってないのです)
今年に十二国記の新刊がでるかも知れないと聞いて楽しみにしてるんです!!

Re: 日々の読書 ( No.28 )
日時: 2003/04/28 17:59
名前: ちんじゅう

だれでもできる楽しいミミズの飼い方icon

 シマミミズで生ゴミの処理をしている人たちの手記を集めたもの。専門家の文章ではなく、聞きかじった知識をもとに手探りでやってる普通の人たちが書いたものなので、自分でもやってみようと思ってる人にとっては励みにも参考にもなるはず。

 珍獣もかねがね生ゴミの処理用にミミズを大量に雇いたいと思ってます。ミミズそのものに対する嫌悪感はまるでないので、場所さえあれば実は今すぐにでもやってみたかったりする。
 本書の筆者のひとりは「なるべく安く、身近にあるもので」とプランターでミミズを飼い始めて「考えが甘かった」と反省していました。まさに珍獣様がたどりそうな道のりでした。
 専用のコンポスト(ミミズを飼うための容器)を使えばいくらか楽にはじめられそうですが、それなりにお金もかかるし購入する決心がつきません。何より置く場所が絶望的にないんです。これが植木なら「きれいな花が咲きます」という理由ひとつでアパートの共有スペースにも進出させられますが、ミミズとなると話はちがいます。気持ち悪い、臭いと、必ず苦情が出るでしょう。
 うまくやれば悪臭も蠅も発生しないそうです。でも、うまくなければどちらも発生するわけで、そうなった時にまわりの人たちが我慢してくれる保証はどこにもありません。大量のミミズを処分しろと迫られて、泣きながら河原に捨てにゆく自分を想像すると、今の環境では無理だろうなと、後ろ向きな気持ちでため息をつきながら読み終えました。

『オリガ・モリソヴナの反語法』 ( No.29 )
日時: 2003/05/06 08:06
名前: ちんじゅう

『オリガ・モリソヴナの反語法』>>11

 読了。
 スターリンの時代に粛正された人たちの歴史を扱っているのですが、主人公が自分の恩師の不思議な生い立ちを追ううちに、謎だったいろんなことが少しずつわかってゆくという筋立てになっていて最後まで飽きることなく読めました。直感に頼って買って正解。面白かったと言うべき話じゃないかもしれないけど、素直に面白かったです。
 作者の米原万里さんは 9〜14歳までの間プラハのソビエト学校で学んだ経験があるということですが、主人公の少女時代のことなどは実体験に基づいているのでしょうか。どのくらいまでフィクションなのかよくわからないのですが、作者の身近に地獄のような収容所生活を生き抜いた先生がいたのかもしれません。

同じ作者(米原万里)の本
旅行者の朝食icon
真夜中の太陽icon
ロシアは今日も荒れ模様icon
ロシアは今日も荒れ模様icon』(文庫)
ガセネッタ&シモネッタicon
わたしの外国語学習法icon』(文庫)
魔女の1ダ−スicon』(文庫)
不実な美女か貞淑な醜女(ブス)かicon』(文庫)

 米原万里は TBS 朝の報道番組「ウォッチ」にコメンテーターとして出ている人です。

Re: 日々の読書 ( No.30 )
日時: 2003/05/08 16:59
名前: ちんじゅう

平凡社・東洋文庫『続日本紀』1〜4
boople では注文できませんが、 平凡社のサイト で通販できるようです。

 あることを調べたくて借りてきたものです。口語訳のみ収録されています。
 『日本書紀』に継いで編纂された編年体の歴史書で、文武天皇元年(679年)から桓武天皇の延暦八年(791年)までを扱っています。編者は菅野真道、秋篠安人、中科巨都雄ら。成立は延暦十六年(西暦797年)。

 『日本書紀』は神話時代を扱っているので、読み物として楽しい部分が多いですが『続日本紀』はナントカ天皇の何年何月に、どこそこで大風があって家がふっとんだとか、何年何月に天皇が詔して「朕に徳がないばかりに飢饉がひどいので恩赦をする」と言ったとか、現実的なことが淡々と書かれています。

 なんの目的もなく読破するのはキツイですが、この時代に活躍した人の名前を探しながら読むなど、何か目的をもって読むと楽しいこともあります。

 たとえば、和製ファンタジーにはまったことのある人にはおなじみの役小角(えんのおづぬ)などもこの時代の人で、天武天皇の五月丁丑(二十四日)、役君小角が伊豆嶋に流刑になったとあります。
 読み物っぽい部分の少ない本ですが小角に関しては鬼神を雑用に使うとか、流罪になった経緯とか、ちらっと説明されてます。

 今では偉いお坊さんとして有名な行基もこの時代の人です。最初から認められていたわけでなく、インチキ坊主扱いされていた時代もあるようです。天正天皇はこの人のことを「小僧」と呼んで批判してます。

 日本人ばかりでなく、かの有名な玄奘三蔵の名前も出てきます。
 日本の僧侶で、中国で勉強してきた道照(または道昭)という人が天武天皇四年(700年)の三月己未(十日)に亡くなっていますが、この人は中国で玄奘三蔵に弟子入りしたというのです。玄奘は道照をかわいがって、同じ部屋で寝泊まりさせていたそうです。
 また、玄奘が西域の旅で村ひとつない荒野で餓死しかけたとき、どこからか僧侶が現れて梨の実をひとつくれたという不思議な話を出し、その時の僧侶は道照だったに違いないと言ってます。
 さらに、道照が日本に帰ることになると、論経と、舎利(仏陀の骨)と、西域から持ち帰った鍋を与えて別れを惜しんだということです。
 この鍋は、薬草を煎じて飲むとどんな病気も治ってしまう不思議な鍋ということです。帰国の船の中で病気になった人に、この鍋で粥を煮て与えたら、みなたちどころに元気になりました。
 ところが、船が海上のあるところまでくると、どうしても先へ進めなくなり、七日七晩も足止めを食うことになります。船に乗っていた占い師が「海中の竜王が道照の鍋をほしがっているのです」というので、泣く泣く鍋を海に投げると船が進み出したということです。
 この話のどこまでが史実かわかりませんが、当時の日本でも玄奘三蔵が尊敬されてたことがわかります。


●その他のおぼえがき
 天武天皇の大宝二年(702年)七月乙亥(十日)、美濃国大野郡の人、神人大が蹄の八つある馬を献じてきたので、稲千束を与えた。
 八つの蹄って、足が八本という意味? それとも、牛のように蹄の割れた馬という意味??

※この部分、原文では「美濃國大野郡人神人大獻八蹄馬。給稻一千束」とあって、「八蹄」と書けば一足に蹄がやっつという意味らしい。『漢書』や『論衡』に見える白い麒麟も「五蹄」と書いて、一足に蹄が五つと読むのが一般的な解釈だとか。

『論衡』 ( No.31 )
日時: 2003/05/08 17:38
名前: ちんじゅう

明治書院
 新釈漢文大系68『論衡 上icon
 新釈漢文大系69『論衡 中icon
 新釈漢文大系94『論衡 下icon

 中国・後漢時代の思想書。自然、人生、歴史、政治思想について、世間ではこう言ってるけど私はこう思うと、するどくツッコミを入れている。

 中国の本なのでもとは漢文で書かれてます。日本語訳はいくつか出てますが、一部だけ抜き出して収録した抄訳版も多いです。明治書院の『新釈…』には『論衡』のすべてが収録されていますし、漢文、漢文の書き下し、口語訳が収録されていて、資料価値が高いです(お値段も高いですが)。

 著者の王充は『山海経』をだいぶ読んだらしく、あちこちにそれらしい記述があります。でもそれは 別のスレッド で抜き書きしているので、ここではそれ以外の面白そうなことをメモしようと思います。

●呉人(書虚 第十六)
 禹の時代、呉は裸体の国で、毛髪を断ち切り体に入れ墨をしていた。

●麒麟(異虚 第十八)
 漢の武帝のころ、白い麒麟を捕まえたところ、一本角の先に肉をつけており、一足ごとに五つの蹄があった。謁者という役についている終軍という男に調べさせると「野獣でありながら一本角というのは天下がひとつになるということです」と読み解いた。
※この話は『漢書』の終軍伝にある。

●倭人(異虚 第十八)
 周の時代、倭人がやってきて暢草(鬱金草)を献上した。暢草は鬱金酒をかもし、よい匂いを遠くまでかおらせる。お祭りのときに注いで神おろしをするものだ。宮殿の庭に楮が生えたくらいで凶兆とするくせに、暢草はおめでたいものだというのはおかしい。どちらも自然に生えてくるもので同じじゃないか。

※暢草は、秬(クロキビ)とあわせて酒に香りをつける。李白の詩にも「蘭陵美酒鬱金香/玉碗盛來琥珀光」とある。鬱金といえばターメリックのことだが、倭人の貢ぎ物としてターメリックというのはあり得るのだろうか。

関連 >>17『「河童」を知れば日本の古代史がわかる』

『論衡』 ( No.32 )
日時: 2003/05/09 23:19
名前: ちんじゅう

●麒麟(指瑞 第五十一)
 春秋経に、死んだ麒麟を見て孔子が「なぜ出てきたのか」と言って泣いたとある。儒者たちは「聖人である孔先生は王となれず、徳のない者が魯の王となっているにもかかわらず、麒麟が迷い出たのを見て先生は嘆いているのだ」と解釈した。孔子がそう嘆いたから、麒麟は聖王のために現れるものだとわかると。
 しかし麒麟は偶然出てきただけだ。もし麒麟が聖王のために現れるのなら、聖王のいなかった時代に出てくるはずがない。孔子はただ、捕らえられて殺された麒麟を見て泣いただけである。

※わかりにくいかもしれないが、

麒麟は聖王のために現れるもの
 ↓
出てきてみたら、聖王がいなかった
 ↓
存在意義を失った麒麟は人に捕らえられて殺された
 ↓
その死骸を見て孔子は嘆いた
 ↓
弟子たち「孔先生はご自分が王になれず、世が愚か者に治められているのを嘆いておられる。やはり麒麟は聖王のために現れるのだ」
 ↓
王充「ちげーよ、麒麟は偶然出てきただけ。聖王のために現れるんなら、聖王のいない時代に出てくるわけないじゃん」

 孔子が嘆くあたりまでの話は十二国記の麒麟の立場と通じていて面白いかも。そっちから麒麟に興味を持った人は、孔子の逸話を調べてみると面白かったりしないかな。

 王充は、麒麟が聖王のために出てくるものじゃないと言っているんだけど、別に麒麟そのものを否定してるわけでもなくて、世界が太平になると自然にでてくるものだと言ってるみたい。
 天下太平というのは、聖王によってもたらされるものなので、麒麟と聖王が結びついているように見えるだけだということです。

『論衡』 ( No.33 )
日時: 2003/05/12 15:16
名前: ちんじゅう

●カイチ:鮭鯱・解豸・解廌…などと書く(是応 第五十二)
 「鮭鯱は一角の羊で体色は青くて四足獣である。またの説では熊に似ていて直不直を知っており、生まれながらに有罪者を見分けることが出来る。皐陶が裁判するとき、有罪かどうか疑わしい者は羊に触れさせようとすると、有罪であれば触れるが、無罪であれば触れない。これは思うに天が一角の聖獣を下して裁判を助けて証拠とするものだろう。それゆえ皐陶は羊を畏敬しひざまずいて事えた。これは不思議なめでたいしるしの現れの類である」←この文章自体は何かの本の引用、または要約である可能性が高い。
※「廌」は こんな文字 です。

●亀(是応 第五十二)
 三本足のスッポンを能(だい)といい、三本足の亀を賁(ふん)という。

●過去と未来を知る生き物(是応 第五十二)
 猩々は過去を知るし、乾鵠は未来がわかる。

●ソウジ:倉兕(是応 第五十二)
 倉兕は黄河の水中に住む獣で、一身に九頭あり、よく人の乗っている船を転覆させる。
 ※「兕」は、[凹/にんにょう]  こんな文字 です。

Re: 日々の読書 ( No.34 )
日時: 2003/05/12 17:56
名前: ちんじゅう

●鯀(死偽 第六十三)
 鯀は死んで黄熊になり、羽淵に入った。
 ※鯀というのは禹の父で洪水に着手して失敗、誅殺された。『山海経』にも名前は何度か出てくるが黄色い熊になった話はない。

●音楽(紀妖 第六十四)
 むかし、黄帝は「清角」という音楽を演奏させるとき、西大山の上に鬼神を招集し、象の曳く車に乗り、蛟龍を六頭そろえ、畢方神が車轄にならび、蚩尤が前に控え、風伯が露払いをし、雨師が道路に水をまき、虎狼が前に、鬼神が後ろに控え、虫蛇は地にひれふし、白雲が車の上空を覆い、このようになってからはじめて清角の演奏をした。この音楽を聴くには高い徳をそなえていなければならない。
 平公が、楽士が止めるのを聞かず、この曲を演奏させたところ、嵐がおこり回廊の丸屋根を壊した。晋国は大旱魃で三年間も丸裸になり、平公自信は重病になった。
※『韓非子』十過篇、『史記』楽書にこの話があるらしい。



 というわけで、『論衡』読了しました。といっても、ぴらぴらページをめくりながら、興味のある単語が目に入った時だけ集中して読むという乱暴な読み方ですが。
 そういえば昔、うちに『論衡』のことを聞きに来た人とかもいたような気がするけど、人に聞く前に自分で読めば?と言いたいです。調べて何か返事したような気がするけど、わかったともわからないとも言わずに二度と来なかったし。今度誰かに同じこと聞かれたら、「面白かったけど何か?」と答えよう、うん。

『野菜物語』 ( No.35 )
日時: 2003/05/20 20:57
名前: ちんじゅう

野菜物語icon

 野菜の歴史や世界の野菜料理、新しい野菜、ハーブなどについて美味しく解説する本。

 図書館でぴらぴらっとめくったら面白くなってしまい、著者が誰かなんて少しも考えずに借りてきたのですが、さっき確認したら『マメな豆の話』や『東南アジア市場図鑑・植物編』の吉田よし子さんでした(参照>>9)。

 著者はフィリピンでの生活経験があるのですが、やはり生活に根ざした話は面白いです。フィリピンでは未熟なパパイアを素麺状に切って甘酸っぱい漬物をつくるそうですが、キンシウリ(素麺カボチャ)で同じものを作ってふるまうと「どうやってこんなに細く切ったの?」と聞かれるというんです。そこで「カボチャを茹でてほぐしただけよ」なんて答えると誰も信じない。こういう武勇伝(?)はいつ聞いても楽しいです。
 しかも、この人の話は面白いだけじゃなく本当に詳しいのです。植物学の知識が豊富なのか、説明にごまかしっぽいところが少ないし、中国のなんとかいう古典に出てくる、日本では日本書紀が最古の記録、なんてことまで、読みやすい文体で説明されてます。
 野菜の好きな人にも、嫌いな人にもおすすめ。ひょっとして野菜嫌いがなおるかもよ。


おぼえがき
●モロヘイヤ(シナノキ科) Corchorus olitorius
 原産は熱帯アジアで、フィリピンではサルヨッという。エジプトでも古くから食用にされており、エジプト帰りの日本人が最近になって持ち込んで普及させたことからエジプトの名前でモロヘイヤと呼ばれている。和名はナガミツナソ(長実綱麻?)、またはタイワンツナソ(台湾綱麻)、シマツナソ(縞綱麻)という。戦前に繊維をとるために国内で栽培されたことがあり、一部地域では当時から野菜として利用していたこともあるらしい。葉は無害だが、種に毒がある。モロヘイヤの繊維は英語でいうジュート(jute)と同じようなもの。

 ジュートが取れる植物のことは、和名を「ツナソ」という。モロヘイヤと同じくシナノキ科で学名は Corchorus capsularis

※この本にもちらりと書いてありましたが、モロヘイヤの種に毒があるのは最近まで日本では知られていませんでした。4〜5年前に中毒の危険がある(実際にあった?)ので「花や種を食べないで!」とニュースになったのを覚えてます。
 野菜としてお店で売られているものには花も種もついていないので心配はないのですが、家庭菜園ブームで自宅の庭やベランダで作る人が増えたせいで中毒する可能性が出たんだと思います。みなさんお気をつけあそばしてください。
 モロヘイヤについては、吉村作治の本にもエジプトの食材として美味しく紹介されてたのを記憶してます。同時期に似たような本を何冊か読んだので、どれだったか正確には思い出せません。
 吉田よし子さんはモロヘイヤに「トロロナ」という愛称をつけてましたが、吉村教授はエジプト生活中に納豆を食べたくなってモロヘイヤを食べたような話をしてました。納豆にはあんまり似てないと思うんだけど、ねばねばしたものを食べたいという欲求はわかるような気がします。

至心懺悔 ( No.36 )
日時: 2003/05/21 12:06
名前: 涜神犯人

先月、近くの本屋に注文していた

平凡社ライブラリー
山海経
高馬三良(訳)
ISBN:4582760341

が、やっと届きました
珍獣さまのお館に出入りして二年余り
実は、まだ山海経を持っていなかったのでした(至心懺悔)
で、内容は犯人がコメントするより、ここのメインコンテンツ等をみてもらった方が
わかりやすいでしょうから省略しますけど
水木先生の解説が読めたのは「感動!」でした

Re: 日々の読書 ( No.37 )
日時: 2003/05/22 10:48
名前: ちんじゅう

 うーん。
 犯人さんまでもが『山海経』も持たずにうちに入り浸っていたなんて。わたくし少々後悔ぎみ。オリジナルも知らずにうちのようなしょーもないもの見て喜んでるなんて、なんかまちがっておるよ、みなの衆。

 結局、『山海経』専門サイトでありながら、『山海経』に興味を持つ人はろくに増やせず、なんとなくいついてる人ばっかりになってるっちゅーのはかなり問題アリというかなんというか。あまり面白くはありませんわなあ。

 やっぱり化け物の画像なしにするか、自作の画像を使うんだったかなあ。そしたら山海経には本来こういう不思議な絵がついているので、興味のある方は平凡社ライブラリーを買ってね、と言えたかも?

 まあ、それはともかく、水木御大の解説に感動しちゃった犯人さん。水木先生は山海経をもっと研究すれば日本の妖怪のルーツがみつかるんじゃないかって話をしてた気がしますが、せっかく手に入れたのですから、山海経出身の日本妖怪をみつけてやってくださいな。

Re: 日々の読書 ( No.38 )
日時: 2003/05/23 21:17
名前: ちんじゅう

花の名物語100icon

 タイトルの通りの本です。その花の名前がどういう意味で、どういう経緯でつけられたか、また花にまつわる伝説などを説明しています。
 著者のダイアナ・ウェルズはフィラデルフィア在住の園芸家で 6 エーカーの庭を持つ自称「だらしない庭師」だそうです。

 この手の本は腐るほどあるのですが、この本の特徴はは単純に言葉の意味や伝説だけを説明したのではなく、その花の学名がつけられた経緯や、発見された時の逸話などに重点があるということでしょうか。

 この花について調べたい、という目的があるときにあたってみると、他では得られないことも書いてあるかも。


<おぼえがき>
●サフラン
 1 オンスのサフランを作るのに、4000 もの柱頭(雌しべ?)が必要。そのため金と同じか、金よりも価値のあるものとして扱われた。中世の祈祷書には金箔のかわりにサフランを用いたものがある(どう用いたのだ?)。

 金持ちは料理の風味付けにサフランを使い、貧乏人はキンセンカで代用した。サフランを食べれば頭が良くなると言われているが、毒性もあり、ジョセフ・ド・ツルンフォールは「トレントのある女性はサフランを食べ過ぎて笑いが止まらなくなり、三時間も笑い続けるのを見た」という。

※サフラン Crocus sativus とクロッカス rocus vernus は別種ですが同じ属でとても近い仲間。サフランのことをクロッカスと呼ぶ人もいるし、クロッカスのことをハナサフランと言う場合もある。
 たしか何かのアニメだったと思うのですが、誰かが病気になり、熱か頭痛で苦しんでいる場面で「クロッカスが生えている時期だったらねえ」とつぶやいてるのを見たことがあります。何に出てくる台詞だったか気になって気になって…

●スイレン
 ヘロドトスによれば、スイレンの根は甘いらしい。
 古代ギリシアでは根に勢力を減退する効果があると信じられており、中世の修道院ではスイレンの根の粉末とハチミツで舐め薬やペーストを作って貞操を守った。

※熱帯ではスイレンの根(根茎)を実際に食用にすることがあるらしいですが、甘いかどうかは未確認。

●クルメツツジ
 ニニギノミコトが天皇家を作りに降臨したときに聖なる霧島山の土から芽を出した。

※著者は「われわれも神を信じていないわけではないが、アザレア(ツツジ)は主に銀行やスーパーマーケットの駐車場に植えられている」と言ってます。日本でも神は信じられていますが、ツツジは道ばたで排気ガスをかぶって汚れてます。
 クルメツツジというのはキリシマツツジと同じものらしいんですが、天孫降臨のさいに誕生したという伝説は始めて聞きました。何かの古典に出てくるのでしょうか。

Re: 日々の読書 ( No.39 )
日時: 2003/05/23 21:16
名前: ちんじゅう

園芸植物名の由来icon

 これもタイトルの通り。著者は日本人で東大理学部植物学科出身の理学博士。『花の名物語100』の内容とかなりかぶっているが、和名の由来も少し書いてある。

同じ著者(中村浩)の本
動物名の由来icon
植物名の由来icon

Re: 日々の読書 ( No.40 )
日時: 2003/05/24 04:44
名前: 涜神犯人  <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>

死体は語る
上野正彦
時事通信社
ISBN 4-7887-8930-2 C0036

死体は生きている
上野正彦
角川書店
ISBN 4-04-883267-0 C0095

一時期話題になった(らしい)本、著者の担当した検視事例が紹介されています。その後も「死体は○○」といったタイトルの本が出版社を変えて数冊でているようです。
著者は作家志望のようなのですが、不幸なことに元監察医の肩書きがついてまわり、テレビドラマの監察医シリーズのクレジットでも監修のところに名前が出てきたりするんです。わりとオチャメな人で深夜こどもが高熱をだすと「医者を呼べ」とさけんで奥さまから「医者は自分でしょう」と叱られたりするそうです。その奥様は区議会議員などなさってたらしいので、お江戸の方々にはお馴染みかもしれません。

で、時事ネタですが、まずは「ドクターハラスメント」
1930年代に某ハーストという人が、診察中の医師の不適切な言動により患者が自己暗示により病気になったものをIatrognic Disease(医原病)と呼ぶように提唱しているそうです。それが最近では薬害のようなものをIatrognic Diseaseと呼んでいることにハーストさんの意志が活かされていないと、上野さんは嘆いています。

で、次はウイルス性急性新型肺炎関連です
上野さんによると、医学の教科書には「肺炎球菌に感染すると、咳が出て、熱が出て、息苦しくなる。こういう患者を診察したら肺炎と診断せよ。肺炎は感染の危険はあるが、治療には抗生物質が有効である」と書いてあるそうです。しかし、「なぜ感染の危険を冒して患者に近づき治療をしなきゃならんのか」ということにはいっさい触れてないそうです。医学生にはそういう教育が必要なのにと、上野さんは嘆いています。

Re: 日々の読書 ( No.41 )
日時: 2003/05/24 04:45
名前: 涜神犯人  <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>

おっと、中国文学関連を書き忘れていました
上野先生によると、中国には世界最古の法医学書である「冤洗録」(1247年著)というのがあって作過死という項目に「凡男子作過太多精気耗尽脱死於婦人身上者。真偽不可不察真則陽不衰偽者則萎」と書いてあるそうです。なんと、上野さんは腹上死研究の世界的権威なのです。因みに腹上死とは朝鮮半島での呼び方で、大陸では作過死とか脱陽死と呼び、台湾では途中(何の途中だ?)の死を上馬風、終了後の死を下馬風といい双方をあわせて色風と呼ぶ、と書いてありました。

Re: 日々の読書 ( No.42 )
日時: 2003/05/26 19:29
名前: ちんじゅう

時事通信社『死体は語るicon
角川書店『死体は生きているicon
上野正彦の本・リストicon

 自分の住んでる区の議員さんもろくにしらないので奥様のほうはとんと心当たりがありませんが、上野正彦って人はテレビでたまに見ますよねえ。たしかに面白い人で話し上手でした。
 いろんな番組で体験を語ってるんですが、珍獣的に印象ぶかいのはホームレスの孤独な死と猫の話(だいぶ前に聞いた話なので細部はちがっているかも)。

 掘っ立て小屋に住んでいるホームレスのオッサンが死んでると通報がある。検死に行ってみると腐乱死体から大事な部分が切り取られてた。阿部定事件か?!(ホームレス相手に?)となったわけですが、上野さんは見抜きました。切り取られた大事な部分のまわりに、獣がひっかいたような小さな傷がたくさんあったということを。

 どうやら、そのオッサンは独り身の寂しさをまぎらわすために、大事なところに魚の缶詰の汁でも塗って猫にしゃぶらせていたんじゃないかというんです。ところがオッサンが病気かなにかで死んでしまい、可愛がってた猫が集まってきて、いつものようにしゃぶってるうちに、噛み切って食べてしまったか、どこかへ持って行ってしまったんだろうと。

 話は変わりますが、房事にやりすぎて死ぬことを、腎虚とかいうのはよくいいますよねえ。でもこれだと、やりすぎて死ぬことだけじゃなく、体力がなくて不能になったのも含んでしまうかも。
 臀上死とかいうのも見たことがあるような気もするんですが、これじゃ「やりすぎ方」に制限がつきそう。臀部(尻)の上なんでしょう?

 大陸式の陽脱死は、東洋医学っぽくて素敵(?)ですね。でも、作過死のヒリヒリただれた感じも捨てがたい魅力を放ってますね。台湾式の上馬風・下馬風ってのは、かなり風流で、明治・大正・昭和初期の作家に使っていただきたい感じ。

『出雲国風土記』 ( No.43 )
日時: 2003/05/26 19:38
名前: ちんじゅう

講談社学術文庫『出雲国風土記icon

 奈良時代の初頭、朝廷の命令で作られた地誌のひとつ。書き下し、口語訳、解説、返り点つきの原文が収録されてます。

 風土記というのは、山や川、地名の由来や、その土地に伝わる伝説、その土地でとれる有用植物や動物などの記録です。
 こういった風土記は全国で作られたはずなのですが、現在残っているのは出雲国風土記 ・常陸国風土記 ・播磨国風土記 ・豊後国風土記 ・肥前国風土記の五遍のみで、完全な形で残っているのは『出雲国風土記』だけだそうです。

 口語訳の部分だけ拾い読みしていると、書き方が『山海経』に似てるのに気づきました。「ナントカの郷、郡役所から南へ○里、この土地は…という伝説があるのでナントカと呼ばれる。南へ行くと海、ここには…という言い伝えがあり…」と、方向と距離がハッキリ書かれてるあたりがそっくりです。

 訳者も解説で『山海経』の影響を指摘してます。この読みが当たってるとしたら、出雲の国の知識人は千三百年も前に『山海経』を読んでいて、地誌作成の参考にしたってことなのですよね。公文書作成の参考にしたのですから、当時の日本ではかなり信頼できる格調高いものと思われていたんじゃないでしょうか。

<おぼえがき>
 加賀の神埼(島根県八束郡にある潜戸鼻のこと)には岩窟がある。ここは佐太大神が生まれたところ。出産を間近に控えた枳佐加比売命(きさかひめのみこと)は弓をなくしてしまった。

 そこで枳佐加比売命が祈誓(うけい)して言うには
「わたしの息子が麻須羅神の御子ならば、なくなった弓矢が出てきますように!」
麻須羅神というのは、お腹の子供の父親である。
 枳佐加比売命の言葉に応えるように、角の矢尻がついた矢と弓が水のまにまに流れてきた。けれど、なくした弓矢とは違っていたので「これじゃない」と捨ててしまった。

 すると今度は金矢尻の矢と弓が流れてきた。枳佐加比売命はこれを拾い上げて「ここはなんて暗い岩屋でしょう」と言って矢を放った。

 こうして枳佐加比売命はこの岩窟に住まうようになった。岩窟は東と西と北に貫通しており(そのどれかは枳佐加比売命が放った矢で開いた?)、船で通り抜けることができる。ここを通る人は大声をあげて岩窟に反響させながらゆく。そうしないと神が現れて大風がおこり、船が転覆してしまうからだ。

※イソップ童話の『金の斧』と似てますが、イソップは「正直者は得をする」という結論になってるのに対して、出雲国風土記では「自分が不義を犯したのでないなら弓が出てくるはず」という占いがテーマになってます。

 同じような話が『古事記』にもあります。スサノオとアマテラスが大げんかをして、決着をつけるために「立派な神を誕生させられたほうが正しい」と言いながら新しい神を創り出します(勝負に勝ったのはスサノオ。でも調子に乗って大暴れしたので高天原から追い出された)。
 他にもニニギノミコトの奥さん(だったかな?)に不義の疑いがかかって「そんなに言うならわたくし、産屋に火を放ちます。罪があるなら焼け死ぬでしょうが、無実の罪ならば無事に出産できるはずです」と言いながら火の中で子供を産む話とかもあります。

 話としてわかりやすいのは『古事記』のもの。祈誓(うけい)をする理由もちゃんとしてるし、その結果自分が正しいことを証明します。けれど枳佐加比売命の場合、祈誓をする理由もはっきりせず、二度目に流れてきた金矢尻の矢が、なくしたものと一致するのか書かれていないのでわかりにくいのです。

 話のお約束に従うならば、二度目の弓矢は枳佐加比売命がなくしたものでなくてはいけません。ひょっとすると枳佐加比売命の場合も、誰かに不義の罪をきせられて神埼の岩窟に捨てられたのでしょうか。そして祈誓により自分が正しいことを証明し、その岩窟の神になったのではないかと思います。

 なんにせよ重要なのは「真実」のようです。イソップ童話の場合は「自分の落としたのは、金でも銀でもない、鉄の斧なんだから、鉄の斧を返してくれ」と頼むわけですが、はたしてこの男はただ馬鹿正直だっただけなのでしょうか。

 仕事の途中で泉に斧を落とした木こりは途方にくれました。しかし、そこであきらめず、こんな祈誓をします。
「わたしはただの木こりだが、この歳になるまで正直に暮らしてきた。褒められることがあっても責められることなどあるはずはない。だのにここで斧をなくせば正直者の自分は路頭に迷うことになる。これは不当な試練ではないだろうか。わたしに少しでも運が残っているのなら、失われた斧よ、泉から出てきておくれ!」

 自分に与えられた試練は不当なものだから取り下げてほしいと運命の女神に抗議するわけです。
 この祈誓を成就させるには、金や銀で手を打つのではなく、自分がなくした斧を取り戻さなきゃいけません。自分の真っ当さをかけた誓いなのに最後にウソついちゃったら台無しですから。木こりは自分が落とした鉄の斧を受け取り、自分の正直さを証明します。そして、金の斧も銀の斧も手に入れて幸せになるのです。

 そう考えると『金の斧』は正直者が偶然つかんだ幸運ではなく、もっと積極的に幸せをつかもうとした話のような気がしてきます。あくまで枳佐加比売命の伝説から思いついた想像ですけどね。

『黄金伝説』 ( No.44 )
日時: 2003/06/02 21:26
名前: ちんじゅう

荒俣宏『黄金伝説〜[近代成金達の夢の跡]探訪記』集英社

 タイトルの通りの本で、明治・大正・昭和の初期に財をなした「成金」たちのことを振り返る本です。
 アリャマタ曰く、産業というのは過去を持たないもので、未来だけを見つめて現在を生きるものなのだそうです。けれど、繁栄があれば滅びもまたあるわけで、成金たちが残した家や町並みを、考古学のように探訪したら…??

 『PLAYBOY日本版』に掲載された記事を単行本にしたものらしいです。ひょっとして雑誌に掲載された時はカラー写真を沢山使っていたんでしょうか、単行本の巻頭にもカラー写真がちょっとだけついてます。これがけっこう美しくて、もっと沢山ついてたらいいのにって感じでした。

 A5版の本と、文庫が出てたみたいですが、どちらも版元品切れのようです。


目次より
 黄金伝説への旅−サフラン酒王
 独立ユートピアの夢−サトウキビ王(玉置半右衛門)
 豪農達の豊饒なる"実り"−稲穂王(伊藤文吉)
 消えた"ニシン王"の謎
 "黒ダイヤ王"の大いなる遺産−石炭王(麻生太吉)
 成りあがり"炭坑王"の悲恋−石炭王(伊藤伝右衛門ほか)
 深山に眠る"銅山王"のユートピア(廣瀬宰平)
 "絹の道"からハマの港へ−生糸王(原善三郎・三渓、仲居屋重兵衛)
 好敵手物語・ニッポン宣伝事始−たばこ王(岩谷松平、村井吉兵衛)
 線路はのびるよ、まっすぐに−鉄道王(雨宮敬次郎、根津嘉一郎)
 ラッパの余韻−映画王(永田雅一)
 "町おこし"産業の宿命−遊郭王
 南洋の島にあった楽園−南洋王(宮下重一郎)

Re: 日々の読書 ( No.45 )
日時: 2003/06/05 09:55
名前: ちんじゅう

中国シンボル・イメ−ジ図典icon

 陶器や布などの模様として、中国で昔から使われてきたシンボルについてイラスト付きで解説した本。単なるカット集じゃなく、ひとつひとつのシンボルについて解説が充実しているのが嬉しいです。

 たとえば「龍」とはどういう意味を持つもので、どんなふうにデザインされたのか、「瓜」とは、「仙人」とは…という感じで、項目別にまとめられていて面白いです。

 同じようなものに『中国文様事典icon』(河出書房新社)っていうのもあるんですが、こちらはイラストが中心で解説はちょっとだけ。カット集として使うのに適してます。

Re: 日々の読書 ( No.46 )
日時: 2003/06/10 22:25
名前: ちんじゅう

鉄腕アトムコンプリ−トブックicon

 買ってしまいました。正確にいうと、おともだちが誕生日になんかくれるというので買ってもらったのです。
 タイトルの通り、アトムが出てくる手塚作品のリストやアトムグッズなどの紹介本なのですが、注目すべきは別冊付録の『アトム今昔物語(復刻版)』です。サンケイ新聞に連載されたオリジナル版を、新聞からスキャニングして、ノイズを除去してきれいにしただけのものがそっくり本になってます!
 『アトム今昔物語』は、過去に二度の再編成が行われてるそうです。現在もっとも手に入りやすい手塚治虫漫画全集(講談社)に収録されているものは二度目のものみたいです。オリジナルとは細部が違うだけでなく、天馬博士の青年時代のエピソードがゴッソリ削除されているなど、かなりの違いがあります。
 手塚治虫の場合、致命的な欠陥がなくとも「面白くないから」という単純な理由で単行本化するときに細部を書き直してるみたいです。直せば直すだけ緻密で完成度の高いものになってるところがすごいんですが、オリジナル版にも捨てがたい場面がちりばめられてます。
 タイムスリップで過去にもどり、アトム誕生の瞬間(2003年)にたどりついたアトムが消滅する場面など、オリジナル版のほうが象徴的かつ衝撃的でたまらない魅力を放ってます。
 すでに単行本を持っているという人もこの本はぜひおさえておくべきです。本体価格 2000円。小松左京、辻真先、藤子不二夫A、萩尾望都、杉井ギサブロー、富野由悠季、清水マリなど豪華ゲストのインタビューも収録されてます。本体価格 2800円。

Re: 日々の読書 ( No.47 )
日時: 2003/06/11 13:12
名前: 涜神犯人

こちらは買えませんでした

「三つ目が通る」単行本未収録話
なんですけどね
先々月、山海経といっしょに近所の本屋さんに注文していたのが、昨日「品切れです」と連絡がありました、素直にboopleに発注すべきだったかも?

Re: 日々の読書 ( No.48 )
日時: 2003/06/11 19:53
名前: ちんじゅう

ええと、そのシリーズは、紙のカバーさえない、
雑誌をそのまま小さくしたような装丁の読み捨て本なんです。
コンビニの店頭に置くことを目的にして作った本なので、
ひょっとすると普通の本屋さんでは扱ってないところもあるのかも。
(まったく出回らないわけじゃなく、
 ごく少ない部数を置いてる本屋さんもありますが)

犯人さんが注文かけた本屋さんが
どういう手順で調べて品切れって言ってるのかわかんないんですが、
どうしても欲しいってことなら、その本屋さんに
「念のために講談社に電話して本当に品切れかどうか聞いてください」って頼みましょう。
(自分で電話するのが早いですが、犯人さんのところからだと長距離なので電話代かかりますよ)

もし、本屋さんが取り合ってくれないようなら boople で注文してください。
「すれば良かった」なんて過去形で話さなくても、まだ売ってるみたいですけど、普通に(^^;
iconicon
三つ目がとおるicon
購入希望の方はクッキー対応のブラウザでよろしく。
↑上の画像をクリックして「買い物カゴに入れる」をクリックして、各種手続きをすると本当にそのまま買えますよ。
(ただし、送料がかかりますので、これ一冊だけ買うと高い買い物になってしまいます。
 他の本も買いたい場合は、そのまま別の本の注文画面にもどって「買い物カゴに入れる」とやればカゴの中に追加されます。
 カゴに入れるだけならお金とられませんから、興味のある方はとりあえずカゴに入れる動作だけ実験してみるのもいいかもね。
 本当に買いたくなったら「注文する」というボタンを押して各種手続きを!)


今後の発売予定
「未収録エピソードを含む巻」のみですが…

三つ目がとおる〜三つ目登場icon』(4月発売・既刊)
 収録作品:文福登場

『三つ目がとおる〜神々の食糧』(7月発売予定)
 収録作品:七蛇寺の七ふしぎ

『三つ目がとおる〜ガイコツ・ショー』(7月発売予定)
 収録作品:カオスの壷、給食、猪鹿中学、長耳族

『三つ目がとおる〜怪鳥モアII』(10月発売予定)
 収録作品:舌をだすな!

『三つ目がとおる〜スマッシュでさよなら』(11月発売予定)
 収録作品:メダルの謎、スキャンダル