芋、薯、藷(すべて「いも」と読む)
あまり明確に使い分けられてはいないようだが、芋といえば芋の総称、またはサトイモのことで、薯といえばジャガイモ(=馬鈴薯)のこと。藷はサツマイモ(=甘藷)のことである。
サツマイモ(薩摩芋)
薩摩で多く作られていたことから。サツマイモには渡来経路をあらわす別名が多い。琉球(沖縄)を経由してきたことから琉球藷、中国から来たから唐芋などとも言う。
芋神さま、甘藷先生
青木昆陽のこと。凶荒対策として大規模なサツマイモ栽培に成功したことからそう呼ばれるようになった。
八里半
サツマイモのこと。クリのように甘いので、クリ(九里)に近い、八里半だという言葉遊び。宝永年間に京都で焼き芋を商っていた業者が考えたと言われている。
十三里
サツマイモのこと。京都で「栗(九里)に近い、八里半」と言われていたことを受けて、江戸は小石川の焼き芋屋が「栗(九里)+より(四里)うまい十三里」と言いはじめたのが最初だと言われている。
また、江戸から丁度十三里のところにサツマイモの産地である川越があったため、川越のサツマイモは栗よりうまいと評判になったともいう。半里つけたして、十三里半と言う場合もある。
芝居・蒟蒻・芋・南瓜(しばいこんにゃくいもかぼちゃ)
江戸時代の女性の好物を並べたもの。「芋・蛸・南瓜(いもたこなんきん)」というのもある。
芋づる式
サツマイモのつるを引っ張ると、次から次へと芋がでてくるように、あることに関連している人や出来事が次々に解明されてゆくこと。
Ipomoea batatas
サツマイモの学名。ipomoea は ips(芋虫)+homoios(似た)の意味で、つるが這い上ってゆく様をあらわしているとも言う。batata
は芋類をあらわす南米の現地語から。
『吹雪』←このタイトルはうろおぼえ
白土三平の短編漫画。飢餓にあえいでいた村の娘 吹雪が大凧にのって山を越え、山向こうの村からサツマイモの苗を持ち帰る、羽衣伝説を織り込んだ切ない物語。白土氏によれば、かつて吹雪という品種名のサツマイモが実在したというが、作品自体は創作である。小学館の文庫サイズの漫画本に収録されていたはずだが…