Re: 日々の読書 ( No.39 ) |
- 日時: 2003/05/23 21:16
- 名前: ちんじゅう
- 『園芸植物名の由来』
これもタイトルの通り。著者は日本人で東大理学部植物学科出身の理学博士。『花の名物語100』の内容とかなりかぶっているが、和名の由来も少し書いてある。
同じ著者(中村浩)の本 『動物名の由来』 『植物名の由来』
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Re: 日々の読書 ( No.40 ) |
- 日時: 2003/05/24 04:44
- 名前: 涜神犯人 <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>
- 死体は語る
上野正彦 時事通信社 ISBN 4-7887-8930-2 C0036
死体は生きている 上野正彦 角川書店 ISBN 4-04-883267-0 C0095
一時期話題になった(らしい)本、著者の担当した検視事例が紹介されています。その後も「死体は○○」といったタイトルの本が出版社を変えて数冊でているようです。 著者は作家志望のようなのですが、不幸なことに元監察医の肩書きがついてまわり、テレビドラマの監察医シリーズのクレジットでも監修のところに名前が出てきたりするんです。わりとオチャメな人で深夜こどもが高熱をだすと「医者を呼べ」とさけんで奥さまから「医者は自分でしょう」と叱られたりするそうです。その奥様は区議会議員などなさってたらしいので、お江戸の方々にはお馴染みかもしれません。
で、時事ネタですが、まずは「ドクターハラスメント」 1930年代に某ハーストという人が、診察中の医師の不適切な言動により患者が自己暗示により病気になったものをIatrognic Disease(医原病)と呼ぶように提唱しているそうです。それが最近では薬害のようなものをIatrognic Diseaseと呼んでいることにハーストさんの意志が活かされていないと、上野さんは嘆いています。
で、次はウイルス性急性新型肺炎関連です 上野さんによると、医学の教科書には「肺炎球菌に感染すると、咳が出て、熱が出て、息苦しくなる。こういう患者を診察したら肺炎と診断せよ。肺炎は感染の危険はあるが、治療には抗生物質が有効である」と書いてあるそうです。しかし、「なぜ感染の危険を冒して患者に近づき治療をしなきゃならんのか」ということにはいっさい触れてないそうです。医学生にはそういう教育が必要なのにと、上野さんは嘆いています。
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Re: 日々の読書 ( No.41 ) |
- 日時: 2003/05/24 04:45
- 名前: 涜神犯人 <adg@pmk.em.nttpnet.ne.jp>
- おっと、中国文学関連を書き忘れていました
上野先生によると、中国には世界最古の法医学書である「冤洗録」(1247年著)というのがあって作過死という項目に「凡男子作過太多精気耗尽脱死於婦人身上者。真偽不可不察真則陽不衰偽者則萎」と書いてあるそうです。なんと、上野さんは腹上死研究の世界的権威なのです。因みに腹上死とは朝鮮半島での呼び方で、大陸では作過死とか脱陽死と呼び、台湾では途中(何の途中だ?)の死を上馬風、終了後の死を下馬風といい双方をあわせて色風と呼ぶ、と書いてありました。
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Re: 日々の読書 ( No.42 ) |
- 日時: 2003/05/26 19:29
- 名前: ちんじゅう
- 時事通信社『死体は語る』
角川書店『死体は生きている』 上野正彦の本・リスト
自分の住んでる区の議員さんもろくにしらないので奥様のほうはとんと心当たりがありませんが、上野正彦って人はテレビでたまに見ますよねえ。たしかに面白い人で話し上手でした。 いろんな番組で体験を語ってるんですが、珍獣的に印象ぶかいのはホームレスの孤独な死と猫の話(だいぶ前に聞いた話なので細部はちがっているかも)。
掘っ立て小屋に住んでいるホームレスのオッサンが死んでると通報がある。検死に行ってみると腐乱死体から大事な部分が切り取られてた。阿部定事件か?!(ホームレス相手に?)となったわけですが、上野さんは見抜きました。切り取られた大事な部分のまわりに、獣がひっかいたような小さな傷がたくさんあったということを。
どうやら、そのオッサンは独り身の寂しさをまぎらわすために、大事なところに魚の缶詰の汁でも塗って猫にしゃぶらせていたんじゃないかというんです。ところがオッサンが病気かなにかで死んでしまい、可愛がってた猫が集まってきて、いつものようにしゃぶってるうちに、噛み切って食べてしまったか、どこかへ持って行ってしまったんだろうと。
話は変わりますが、房事にやりすぎて死ぬことを、腎虚とかいうのはよくいいますよねえ。でもこれだと、やりすぎて死ぬことだけじゃなく、体力がなくて不能になったのも含んでしまうかも。 臀上死とかいうのも見たことがあるような気もするんですが、これじゃ「やりすぎ方」に制限がつきそう。臀部(尻)の上なんでしょう?
大陸式の陽脱死は、東洋医学っぽくて素敵(?)ですね。でも、作過死のヒリヒリただれた感じも捨てがたい魅力を放ってますね。台湾式の上馬風・下馬風ってのは、かなり風流で、明治・大正・昭和初期の作家に使っていただきたい感じ。
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『出雲国風土記』 ( No.43 ) |
- 日時: 2003/05/26 19:38
- 名前: ちんじゅう
- 講談社学術文庫『出雲国風土記』
奈良時代の初頭、朝廷の命令で作られた地誌のひとつ。書き下し、口語訳、解説、返り点つきの原文が収録されてます。
風土記というのは、山や川、地名の由来や、その土地に伝わる伝説、その土地でとれる有用植物や動物などの記録です。 こういった風土記は全国で作られたはずなのですが、現在残っているのは出雲国風土記 ・常陸国風土記 ・播磨国風土記 ・豊後国風土記 ・肥前国風土記の五遍のみで、完全な形で残っているのは『出雲国風土記』だけだそうです。
口語訳の部分だけ拾い読みしていると、書き方が『山海経』に似てるのに気づきました。「ナントカの郷、郡役所から南へ○里、この土地は…という伝説があるのでナントカと呼ばれる。南へ行くと海、ここには…という言い伝えがあり…」と、方向と距離がハッキリ書かれてるあたりがそっくりです。
訳者も解説で『山海経』の影響を指摘してます。この読みが当たってるとしたら、出雲の国の知識人は千三百年も前に『山海経』を読んでいて、地誌作成の参考にしたってことなのですよね。公文書作成の参考にしたのですから、当時の日本ではかなり信頼できる格調高いものと思われていたんじゃないでしょうか。
<おぼえがき> 加賀の神埼(島根県八束郡にある潜戸鼻のこと)には岩窟がある。ここは佐太大神が生まれたところ。出産を間近に控えた枳佐加比売命(きさかひめのみこと)は弓をなくしてしまった。
そこで枳佐加比売命が祈誓(うけい)して言うには 「わたしの息子が麻須羅神の御子ならば、なくなった弓矢が出てきますように!」 麻須羅神というのは、お腹の子供の父親である。 枳佐加比売命の言葉に応えるように、角の矢尻がついた矢と弓が水のまにまに流れてきた。けれど、なくした弓矢とは違っていたので「これじゃない」と捨ててしまった。
すると今度は金矢尻の矢と弓が流れてきた。枳佐加比売命はこれを拾い上げて「ここはなんて暗い岩屋でしょう」と言って矢を放った。
こうして枳佐加比売命はこの岩窟に住まうようになった。岩窟は東と西と北に貫通しており(そのどれかは枳佐加比売命が放った矢で開いた?)、船で通り抜けることができる。ここを通る人は大声をあげて岩窟に反響させながらゆく。そうしないと神が現れて大風がおこり、船が転覆してしまうからだ。
※イソップ童話の『金の斧』と似てますが、イソップは「正直者は得をする」という結論になってるのに対して、出雲国風土記では「自分が不義を犯したのでないなら弓が出てくるはず」という占いがテーマになってます。
同じような話が『古事記』にもあります。スサノオとアマテラスが大げんかをして、決着をつけるために「立派な神を誕生させられたほうが正しい」と言いながら新しい神を創り出します(勝負に勝ったのはスサノオ。でも調子に乗って大暴れしたので高天原から追い出された)。 他にもニニギノミコトの奥さん(だったかな?)に不義の疑いがかかって「そんなに言うならわたくし、産屋に火を放ちます。罪があるなら焼け死ぬでしょうが、無実の罪ならば無事に出産できるはずです」と言いながら火の中で子供を産む話とかもあります。
話としてわかりやすいのは『古事記』のもの。祈誓(うけい)をする理由もちゃんとしてるし、その結果自分が正しいことを証明します。けれど枳佐加比売命の場合、祈誓をする理由もはっきりせず、二度目に流れてきた金矢尻の矢が、なくしたものと一致するのか書かれていないのでわかりにくいのです。
話のお約束に従うならば、二度目の弓矢は枳佐加比売命がなくしたものでなくてはいけません。ひょっとすると枳佐加比売命の場合も、誰かに不義の罪をきせられて神埼の岩窟に捨てられたのでしょうか。そして祈誓により自分が正しいことを証明し、その岩窟の神になったのではないかと思います。
なんにせよ重要なのは「真実」のようです。イソップ童話の場合は「自分の落としたのは、金でも銀でもない、鉄の斧なんだから、鉄の斧を返してくれ」と頼むわけですが、はたしてこの男はただ馬鹿正直だっただけなのでしょうか。
仕事の途中で泉に斧を落とした木こりは途方にくれました。しかし、そこであきらめず、こんな祈誓をします。 「わたしはただの木こりだが、この歳になるまで正直に暮らしてきた。褒められることがあっても責められることなどあるはずはない。だのにここで斧をなくせば正直者の自分は路頭に迷うことになる。これは不当な試練ではないだろうか。わたしに少しでも運が残っているのなら、失われた斧よ、泉から出てきておくれ!」
自分に与えられた試練は不当なものだから取り下げてほしいと運命の女神に抗議するわけです。 この祈誓を成就させるには、金や銀で手を打つのではなく、自分がなくした斧を取り戻さなきゃいけません。自分の真っ当さをかけた誓いなのに最後にウソついちゃったら台無しですから。木こりは自分が落とした鉄の斧を受け取り、自分の正直さを証明します。そして、金の斧も銀の斧も手に入れて幸せになるのです。
そう考えると『金の斧』は正直者が偶然つかんだ幸運ではなく、もっと積極的に幸せをつかもうとした話のような気がしてきます。あくまで枳佐加比売命の伝説から思いついた想像ですけどね。
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『黄金伝説』 ( No.44 ) |
- 日時: 2003/06/02 21:26
- 名前: ちんじゅう
- 荒俣宏『黄金伝説〜[近代成金達の夢の跡]探訪記』集英社
タイトルの通りの本で、明治・大正・昭和の初期に財をなした「成金」たちのことを振り返る本です。 アリャマタ曰く、産業というのは過去を持たないもので、未来だけを見つめて現在を生きるものなのだそうです。けれど、繁栄があれば滅びもまたあるわけで、成金たちが残した家や町並みを、考古学のように探訪したら…??
『PLAYBOY日本版』に掲載された記事を単行本にしたものらしいです。ひょっとして雑誌に掲載された時はカラー写真を沢山使っていたんでしょうか、単行本の巻頭にもカラー写真がちょっとだけついてます。これがけっこう美しくて、もっと沢山ついてたらいいのにって感じでした。
A5版の本と、文庫が出てたみたいですが、どちらも版元品切れのようです。
目次より 黄金伝説への旅−サフラン酒王 独立ユートピアの夢−サトウキビ王(玉置半右衛門) 豪農達の豊饒なる"実り"−稲穂王(伊藤文吉) 消えた"ニシン王"の謎 "黒ダイヤ王"の大いなる遺産−石炭王(麻生太吉) 成りあがり"炭坑王"の悲恋−石炭王(伊藤伝右衛門ほか) 深山に眠る"銅山王"のユートピア(廣瀬宰平) "絹の道"からハマの港へ−生糸王(原善三郎・三渓、仲居屋重兵衛) 好敵手物語・ニッポン宣伝事始−たばこ王(岩谷松平、村井吉兵衛) 線路はのびるよ、まっすぐに−鉄道王(雨宮敬次郎、根津嘉一郎) ラッパの余韻−映画王(永田雅一) "町おこし"産業の宿命−遊郭王 南洋の島にあった楽園−南洋王(宮下重一郎)
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Re: 日々の読書 ( No.45 ) |
- 日時: 2003/06/05 09:55
- 名前: ちんじゅう
- 『中国シンボル・イメ−ジ図典』
陶器や布などの模様として、中国で昔から使われてきたシンボルについてイラスト付きで解説した本。単なるカット集じゃなく、ひとつひとつのシンボルについて解説が充実しているのが嬉しいです。
たとえば「龍」とはどういう意味を持つもので、どんなふうにデザインされたのか、「瓜」とは、「仙人」とは…という感じで、項目別にまとめられていて面白いです。
同じようなものに『中国文様事典』(河出書房新社)っていうのもあるんですが、こちらはイラストが中心で解説はちょっとだけ。カット集として使うのに適してます。
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Re: 日々の読書 ( No.46 ) |
- 日時: 2003/06/10 22:25
- 名前: ちんじゅう
- 『鉄腕アトムコンプリ−トブック』
買ってしまいました。正確にいうと、おともだちが誕生日になんかくれるというので買ってもらったのです。 タイトルの通り、アトムが出てくる手塚作品のリストやアトムグッズなどの紹介本なのですが、注目すべきは別冊付録の『アトム今昔物語(復刻版)』です。サンケイ新聞に連載されたオリジナル版を、新聞からスキャニングして、ノイズを除去してきれいにしただけのものがそっくり本になってます! 『アトム今昔物語』は、過去に二度の再編成が行われてるそうです。現在もっとも手に入りやすい手塚治虫漫画全集(講談社)に収録されているものは二度目のものみたいです。オリジナルとは細部が違うだけでなく、天馬博士の青年時代のエピソードがゴッソリ削除されているなど、かなりの違いがあります。 手塚治虫の場合、致命的な欠陥がなくとも「面白くないから」という単純な理由で単行本化するときに細部を書き直してるみたいです。直せば直すだけ緻密で完成度の高いものになってるところがすごいんですが、オリジナル版にも捨てがたい場面がちりばめられてます。 タイムスリップで過去にもどり、アトム誕生の瞬間(2003年)にたどりついたアトムが消滅する場面など、オリジナル版のほうが象徴的かつ衝撃的でたまらない魅力を放ってます。 すでに単行本を持っているという人もこの本はぜひおさえておくべきです。本体価格 2000円。小松左京、辻真先、藤子不二夫A、萩尾望都、杉井ギサブロー、富野由悠季、清水マリなど豪華ゲストのインタビューも収録されてます。本体価格 2800円。
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Re: 日々の読書 ( No.47 ) |
- 日時: 2003/06/11 13:12
- 名前: 涜神犯人
- こちらは買えませんでした
「三つ目が通る」単行本未収録話 なんですけどね 先々月、山海経といっしょに近所の本屋さんに注文していたのが、昨日「品切れです」と連絡がありました、素直にboopleに発注すべきだったかも?
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Re: 日々の読書 ( No.48 ) |
- 日時: 2003/06/11 19:53
- 名前: ちんじゅう
- ええと、そのシリーズは、紙のカバーさえない、
雑誌をそのまま小さくしたような装丁の読み捨て本なんです。 コンビニの店頭に置くことを目的にして作った本なので、 ひょっとすると普通の本屋さんでは扱ってないところもあるのかも。 (まったく出回らないわけじゃなく、 ごく少ない部数を置いてる本屋さんもありますが)
犯人さんが注文かけた本屋さんが どういう手順で調べて品切れって言ってるのかわかんないんですが、 どうしても欲しいってことなら、その本屋さんに 「念のために講談社に電話して本当に品切れかどうか聞いてください」って頼みましょう。 (自分で電話するのが早いですが、犯人さんのところからだと長距離なので電話代かかりますよ)
もし、本屋さんが取り合ってくれないようなら boople で注文してください。 「すれば良かった」なんて過去形で話さなくても、まだ売ってるみたいですけど、普通に(^^;
『三つ目がとおる』 購入希望の方はクッキー対応のブラウザでよろしく。 ↑上の画像をクリックして「買い物カゴに入れる」をクリックして、各種手続きをすると本当にそのまま買えますよ。 (ただし、送料がかかりますので、これ一冊だけ買うと高い買い物になってしまいます。 他の本も買いたい場合は、そのまま別の本の注文画面にもどって「買い物カゴに入れる」とやればカゴの中に追加されます。 カゴに入れるだけならお金とられませんから、興味のある方はとりあえずカゴに入れる動作だけ実験してみるのもいいかもね。 本当に買いたくなったら「注文する」というボタンを押して各種手続きを!)
今後の発売予定 「未収録エピソードを含む巻」のみですが…
『三つ目がとおる〜三つ目登場』(4月発売・既刊) 収録作品:文福登場
『三つ目がとおる〜神々の食糧』(7月発売予定) 収録作品:七蛇寺の七ふしぎ
『三つ目がとおる〜ガイコツ・ショー』(7月発売予定) 収録作品:カオスの壷、給食、猪鹿中学、長耳族
『三つ目がとおる〜怪鳥モアII』(10月発売予定) 収録作品:舌をだすな!
『三つ目がとおる〜スマッシュでさよなら』(11月発売予定) 収録作品:メダルの謎、スキャンダル
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